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静止軌道衛星を経由した5Gでのビデオ通話に成功–スカパーJSATなど

2025.05.27 18:00

UchuBizスタッフ

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 スカパーJSATが参画している国際研究チームは、静止軌道(GEO)衛星を経由して、国境を越えた第5世代移動体通信システム(5G)での通信(5G NTN)の実証に世界で初めて成功した。5月26日に発表した。

 研究チームは大阪・関西万博のシンガポールパビリオンでエンドツーエンドの5G NTN通信によるライブデモを5月23日に公開した。

 ライブデモでは、シンガポールにある端末から5G信号を送信し、スカパーJSATが運用するGEO衛星を経由して、日本の地上局に伝送された。地上局は5Gの基地局とネットワークに接続されており、地上系ネットワーク(Terrestrial Network:TN)と非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network:NTN)の間での通信の実現性を実証したと説明。既存GEO衛星が「3GPP」の定める「5G NR」規格に対応できることを示したと解説している。

 3GPP(3rd Generation Partnership Project)は第3世代(3G)以降の移動体通信システムの標準仕様を検討、策定する各国標準化機関によるプロジェクト。5G NR規格は、5G用に3GPPが仕様を策定した新しい無線アクセス技術。

 現在の5Gネットワークは主に地上系で構築されているが、将来の6Gネットワークでは、地球のあらゆる場所から接続可能で、災害時でも途切れない強靭な通信基盤を構築するため、TNとNTNの融合が必要不可欠とされている。今回のライブデモの成果は、低軌道(LEO)を含めた将来の非静止軌道衛星(non-GEO)への応用、6G時代での地上系と非地上系のネットワーク融合に向けた礎になると説明している。

 国際研究チームは、スカパーJSATのほかにシンガポール工科デザイン大学(Singapore University of Technology and Design:SUTD)、台湾のTMY Technology、ドイツのRohde & Schwarz、米VIAVI Solutionsで構成。

GEO衛星を経由してシンガポールと日本の間で5Gのビデオ通話構成(出典:スカパーJSAT)
GEO衛星を経由してシンガポールと日本の間で5Gのビデオ通話構成(出典:スカパーJSAT)

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スカパーJSATプレスリリース

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