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NASAジェット推進研究所、テレワークを終了へ–出勤しなければ退職
米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)は米国時間5月22日、1000人以上のテレワークで働く職員に出勤するよう通告した。
22日に配信されたメールによれば、JPLのカリフォルニア州内の一般職員については8月25日に、州外に居住して、完全テレワークで働く職員は10月27日に、テレワークが終了する。7月20日までに意思を伝える必要があり、職場に復帰しない職員は辞職したものとみなされる。
この決定は、現政権の2026年度予算要求で、NASAが最大25%の資金削減に直面している中で下された。惑星防衛プロジェクトや宇宙科学ミッションなど予算削減が懸念されているNASAの惑星探査計画はJPLが運営している。
JPLは米政府から資金提供を受け、カリフォルニア工科大学(Caltech)によって運営されている。2024年には2回の人員削減で全職員の12%以上にあたる約855人が解雇された(2月と11月)。これは、火星サンプルリターン(MSR)計画の再構成による資金不足と現政権が同ミッションの完全中止を打ち出したことが要因だ。
テレワーカーの中には、1月にカリフォルニアで発生したパサデーズ火災で被災した職員もいる。このような職員には「期間限定」の例外が認められる可能性があるが、それは「極めてまれ」であり、JPL所長と勤務する部署の承認が必要だと説明されている。
ある職員は「退職金を支払いたくない1000人以上のリモートワークで働く職員に対して密かにレイオフを進めているのは明らか」と米メディアSpace.comに話している。
同メディアによれば、JPLの現所長であるLaurie Leshin(ローリー・レシン)氏が6月1日に現職を退任すると発表した2週間後に、今回の決定が発表されたという。初の女性所長となったLeshin氏は2022年5月からJPL所長を務めている。後任所長はDave Gallagher(デイブ・ギャラガー)氏が務める。
今回のメールは、Leshin氏とGallagher氏が共同で執筆したという。JPLによれば、今回の決定はJPL内部で行われたものであり、NASAからの指示ではないとしている。

関連情報
JPLプレスリリース
Laurie Leshin氏略歴(JPL)
Dave Gallagher氏略歴(JPL)
Space.com