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大西卓哉宇宙飛行士、国際宇宙ステーションの船長に就任–4月20日から

2025.04.19 09:00

UchuBizスタッフ

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 国際宇宙ステーション(ISS)で「インクリメント73」が4月20日から始まる。3月からISSに入室しているJAXA宇宙飛行士の大西卓哉氏は、第73次長期滞在でISSのコマンダー(船長)を務める。ISS船長を日本人が務めるのは、若田光一氏、星出彰彦氏に続いて3人目。終了は12月上旬を予定している。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の有人宇宙技術部門が4月18日に発表した。

 「インクリメント」はISSの運用期間の単位。インクリメントはエクスペディション(Expedition)とも言われる。厳密には、インクリメントは運用期間のみを指し、エクスペディションは期間とその期間の滞在中のクルー(Expedition ◯=第◯次長期滞在クルー)を指す。

 2007年からは有人輸送機「Soyuz」がISSから離脱(アンドック)を基準に約6カ月を2インクリメントとして数え、2個分まとめて計画管理されていた。しかし、「インクリメント63」からは、1インクリメントが約半年間となったため、1インクリメントごとに利用計画が管理されるようになった。インクリメントは、Soyuzがアンドックされた日に終了し、その翌日から次のインクリメントに切り替わる。

 インクリメントの利用計画を立てて、すべてのミッションを成功に導くためのコーディネーターが「インクリメントマネージャー」という存在(以前は1人だったが、現在はチーム体制に移行している)。

 インクリメント73の担当インクリメントマネージャーは、有人宇宙技術部門 有人宇宙技術センターの井上夏彦氏と有人宇宙技術部門 有人宇宙技術センターの松﨑乃里子氏(同氏は宇宙環境利用推進センターを併任)。

インクリメント73担当インクリメントマネージャー 井上夏彦氏(出典:JAXA)
インクリメント73担当インクリメントマネージャー 井上夏彦氏(出典:JAXA)
インクリメント73担当インクリメントマネージャー 松﨑乃里子氏(出典:JAXA)
インクリメント73担当インクリメントマネージャー 松﨑乃里子氏(出典:JAXA)

 インクリメント73に日本実験棟(JEM)「きぼう」で予定されているミッションはさまざまあるが、「きぼう利用戦略」の具体的取り組みの分類に基づいたマッピングをもとに優先順位を定めている。

インクリメント73での「きぼう利用戦略の具体的取り組み」マッピング(出典:JAXA)
インクリメント73での「きぼう利用戦略の具体的取り組み」マッピング(出典:JAXA)

 ISSでの任務は宇宙飛行士だけでこなすわけではない。地上からの指示や支援があって成り立つ。日本の場合、インクリメントマネージャーと「フライトディレクター」などがきぼうでの実験などを支援する。映画の世界に例えると、インクリメントマネージャーがプロデューサー、フライトディレクターが監督、宇宙飛行士が俳優という関係とJAXAは説明する。

 プロデューサーであるインクリメントマネージャーは、限られた時間を有効に使い、宇宙飛行士ができるだけ多くの作業を効率的に行えるように優先順位を決めて計画を立てるという。運用や実験のチームをまとめるだけでなく、NASAなどほかの宇宙機関とのやり取りもインクリメントマネージャーが担う。

 監督であるフライトディレクターは、インクリメントマネージャーが考えたシナリオを、宇宙飛行士の安全を守りながら、より確実に実行できるように宇宙飛行士に直接指示を出す。フライトディレクターは宇宙と直接つながる管制室が舞台になる。

インクリメント73のミッションパッチ(出典:NASA)
インクリメント73のミッションパッチ(出典:NASA)

関連情報
JAXA 有人宇宙技術部門 発表
きぼう利用戦略
大西卓哉氏長期滞在ミッション特設サイト
大西卓哉氏プロフィール

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