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オーストラリア初の国産ロケット「エリス」、3月にも打ち上げ

2025.02.27 18:00

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 豪企業のGilmour Space Technologies(ギルモア・スペース・テクノロジーズ)は、同国初の国産ロケット「Eris」(エリス)を現地時間3月15日以降に打ち上げると発表した。

 Erisは高さ25mの3段式ロケットで、ハイブリッド推進システムを採用。最大215kgの貨物(ペイロード)を高度500kmの太陽同期軌道(SSO)に投入できる。Rocket Labの小型ロケット「Electron」はSSOに150kgを打ち上げられ、ErisとElectronは同じクラスの性能と言える。

 Erisの試験飛行ミッション「TestFlight 1」について、Gilmourはオーストラリアの民間航空安全庁(CASA)の認証を受けている。北東部のクイーンズランド州北部の自社施設であるボウエン軌道宇宙港「Bowen Orbital Spaceport」から打ち上げる。

 共同創設者で最高経営責任者(CEO)のAdam Gilmour氏は、「軌道への到達は非常に複雑な技術的課題であり、成功したロケット企業はどれも初期の試みで挫折を経験している。SpaceXは4回目で成功している」と同社の試みは難しいものであると説明する。

 「発射台から飛び立ち、最大動圧点(マックスQ)に到達すること、あるいは宇宙空間に到達すること、どの段階まで進めるかにかかわらず、飛行の全ての瞬間が貴重なデータを提供し、今後の打ち上げに向けた信頼性と性能向上に貢献する」(Gilmour氏)

 また、同社の挑戦は「オーストラリアの将来にとって極めて重要な、自国の宇宙能力を構築するために私たちが取らなければならない道」と説明する。

 「オーストラリアが所有し管理するロケットを自国から打ち上げることはハイテク雇用の増加、安全性の向上、経済成長、技術的自立を意味する。自国の技術で定期的に宇宙に打ち上げている国や地域は6だが、オーストラリアもそのうちの1つになるかもしれない」(Gilmour氏)

 同社は2015年からロケット開発を開始し、現在は200人以上の従業員を抱えている。同社は人工衛星プラットフォームの開発も手掛けており、宇宙へのアクセスコストの削減を目指している。

射点に立つEris(出典:Gilmour)
射点に立つEris(出典:Gilmour)

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Gilmourプレスリリース
Space.com

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