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失敗とされた中国月探査機、実は軌道に乗っていた?–「安定して動作」
2024.08.22 08:00
予定軌道への投入に失敗したと考えられていた中国の月探査機「DRO-A」「DRO-B」が現在は月に向かう軌道のようだ。海外メディアのSpaceNewsが報じた。
3月13日に西昌衛星発射センターから「長征2号C」ロケットで打ち上げられたDRO-AとDRO-Bは、ロケット上段の異常から予定していた、月の観測や通信に適しているという遠方逆行軌道(Distant Retrograde Orbit:DRO)に投入されなかった。一方で高度を引き上げる試みが行われていることも、米宇宙軍から報告されている。
中国科学院(CAS)傘下の宇宙利用技術工学センター(CSU)が中国のSNSに投稿したとみられるスライドによれば、DROにうまく入ったことが示された。「衛星は軌道上で安定して動作しており、動作は正常だ」とスライドには記されている。
DRO-AとDRO-Bは中国の月探査計画での技術を実証するとともに軌道試験を狙ったとみられている。月探査を支援するための月面ナビゲーションや通信インフラの構築が含まれる。
DROは、月が地球を回る方向とは反対に周回する軌道。軌道を維持するための噴射を極力抑えられるメリットがあるとされている。
2023年に中国「Journal of Deep Space Exploration」に掲載された論文によると、DRO-AとDRO-Bは、地球低軌道(LEO)にある「DRO-L」と名付けられた別の衛星と通信するように設計されているという。