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米上院の支出法案、NASAのミッション削減案を批判
米連邦議会上院の歳出委員会は米国時間7月26日、商務・司法・科学(CJS)予算法案と報告書を発表した。海外メディアのSpaceNewsが報じた。
今回の法案では、米航空宇宙局(NASA)に254億3400万ドル(約3兆9000億円)を提供する。政権の要求を5000万ドル上回っている。下院の法案では、要求額から2億5000万ドルを削減している。上院での予算法案での探査予算は要求額より3000万ドル増額され、科学および宇宙活動の予算もそれぞれ1000万ドル増額された。
法案は政権の要請を広く支持しているが、一方でNASAがミッションを中止または削減した一部の決定について、批判している。
これには3月に中止の意向が発表された、軌道上で衛星に燃料を補給するという衛星整備技術を実証するための「OSAM-1(On-Orbit Servicing, Assembly and Manufacturing 1)」ミッションも含まれる。上院の報告書では、NASAにOSAM-1に最大1億7450万ドルを支出するように指示している。
科学分野では、上院予算委員会は、NASAによる太陽物理学の予算削減案を批判。これには、磁気圏や電離圏などを統合して観測する「Geospace Dynamics Constellation(GDC)」ミッションの中止も含まれる。
地球科学分野では、静止軌道から温室効果ガスの濃度分布を可視化する衛星「GeoCarb」を打ち上げる、新たな機会を見つけるように求めている。民間企業が運用する衛星に観測装置を搭載することを求めている。
上院の報告書ではまた、X線観測衛星「Chandra」と「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope:HST)」の予算削減にも触れている。HSTに少なくても9830万ドル、Chandraに最大7210万ドルの予算を支出するよう指示している。
「HSTとChandraの両方が、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope:JWST)を補強、補完し米国のリーダーシップを確保するのに役立つ重要能力を提供していると認識している」(報告書)