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「ファルコン9」打ち上げ失敗、ISSへの宇宙飛行士輸送に影響か–NASAとFAAが調査
Space Exploration Technologies(SpaceX)が米国時間7月11日に発生した「Falcon 9」ロケットの打ち上げ失敗について、米航空宇宙局(NASA)と米連邦航空局(FAA)が調査していると、Space.comが報じている。
11日のミッションでは、Falcon 9は衛星ブロードバンドサービス「Starlink」の衛星を打ち上げ。ロケット第2段の燃焼が完了せず、20機の衛星は予定よりも低い高度に投入された。SpaceXはStarlinkのイオンスラスターで一部の衛星を予定高度へと引き上げることを検討していた。しかし、20機すべてが失われたとSpaceXが翌日12日に明らかにした。
今回の事故を受け、NASAはSpaceXによる国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙飛行士の輸送ミッションについて、「スケジュールへの影響があるかどうかを調査する」と述べている(Space.com報道)。Falcon 9は、ISSに宇宙飛行士を輸送する宇宙船「Crew Dragon」の打ち上げにも使用されており、8月中旬にも次回の打ち上げが予定されている。
SpaceXはFAAの監督のもと、事故の原因を調査している(Space.com報道)。「飛行の再開は、事故に関連するいかなるシステム、プロセス、手順も公共の安全に影響を及ぼさないと判断した場合に限られる」と、当局は述べている。
現在、ISSでは第71次長期滞在クルーとして7人の宇宙飛行士が暮らしているが、加えて、米Boeingの宇宙船「CST-100 Starliner」の有人飛行試験(Crew Flight Test:CFT)として2人の宇宙飛行士も滞在している。
Starlinerもヘリウム漏れやスラスターの問題などから地球への帰還は度々延期され、7月末になるとみられている。Starlinerで6月6日にISSに搭乗した宇宙飛行士2人の当初の滞在予定は約1週間とされていたが、すでに1カ月を超えている。
StarlinerとCrew Dragonは「商業乗員輸送プログラム(Commercial Crew Program:CCP)」としてBoeingとSpaceXがNASAから宇宙飛行士のISSへの輸送を委託されている。StarlinerはCFTだが、Crew Dragonは実運用されており、8月中旬に予定されているミッション「Crew-9」では、第72次長期滞在クルーの4人の宇宙飛行士をISSに輸送する予定(ほか6人はロシアの「Soyuz」でISSに搭乗)。
Crew-9でCrew DragonがISSにドッキングするには、StarlinerがISSとのドッキングを解除する必要がある。