ニュース

宇宙ビジネスの最先端を議論する「SPACETIDE 2024」開幕–各国から約1500人が集結

2024.07.08 16:17

小口貴宏(編集部)

facebook X(旧Twitter) line

 宇宙ビジネスの最前線を議論するアジア太平洋地域最大級のカンファレンス「SPACETIDE 2024」が7月8日に東京・虎ノ門で開幕した。

 9回目の開催となる同カンファレンスでは、35の国と地域から約1500人が参加。7月10日までの3日間にわたって「世界とAPAC地域」「安全保障と商業宇宙」「宇宙産業と地上産業」「宇宙人材」「ポストISS」などの50セッションを用意する。

SPACETIDE 2024が開幕

 SPACETIDEで代表理事兼最高経営責任者(CEO)を務める石田真康氏は、今回のテーマを「多彩なコミュニティが紡ぐ宇宙ビジネス」と説明。続けて、インドと日本が探査機の月面着陸を相次いで成功させたことや、APAC諸国が商業宇宙活動を奨励している点などを挙げて、APACには他の地域に負けない価値があると述べた。

SPACETIDEで代表理事兼最高経営責任者(CEO)を務める石田真康氏
APACから続々と宇宙スタートアップが登場していると石田氏

 続いて、内閣府 宇宙政策の担当大臣を務める高市早苗氏が登壇。令和6年能登半島地震で民間の衛星企業から衛星データの提供がなされ、被災状況の把握に役立ったことに言及。「衛星データの社会での活用を進めるために衛星の機数を増やし、災害や農林水産、インフラ整備などさまざまな分野で活用することが重要」と付け加えた。

内閣府 宇宙政策の担当大臣を務める高市早苗氏

 また、宇宙分野での国際連携をさらに推し進めると述べ、アポロ以来の有人月面着陸をめざす「アルテミス計画」や、国際宇宙ステーション(ISS)の後継である「ポストISS」を見据えた宇宙活動について、各国政府や関係機関と連携していると述べた。

 最後に、10年間で1兆円を民間の宇宙事業に支援する「宇宙戦略基金」に言及。8月までに全22テーマを公募開始するとし、非宇宙分野からの参画も歓迎すると述べた。

 このほか、初日には宇宙ビジネスを後押しするために必要な政策、ロケット打ち上げビジネスの勝ち筋、宇宙開発とセキュリティなどをテーマにしたさまざまなセッションが設けられた。

「宇宙の真の産業化に向け、商業宇宙政策はどのような挑戦に取り組むべきか」と題したセッション
米国の「宇宙関連規制」をまとめたスライドも披露
Space Exploration Technologies(SpaceX)に次ぐロケット打ち上げ実績を誇るRocketLab。次期ロケットのNewtronが「2025年の今頃には市場に出ている」と担当者
企業ブースには宇宙・非宇宙を問わず多くの企業が出展
出光が出展した「太陽光で劣化しない太陽電池」
「なぜ劣化しないのか」の説明
海外からの出展も目立った
出展企業のみならず、宇宙に関心のあるさまざまな人のネットワーキングの場となった。画像は廃プラスチックを用いた衛星用燃料(北海道のLETARAが開発)

 また、2日目のとなる7月9日には、米Axiom Spaceに転職した若田光一氏が山崎直子氏と対談するセッションなども予定している。

Related Articles