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スペースワン会見、カイロス爆発を「前向きに捉える」–経産相は「失敗を恐れず挑戦を」と激励

2024.03.13 14:54

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 スペースワンは3月13日、自社ロケット「カイロス」の打ち上げ失敗に関する記者会見を開いた。同社で代表取締役社長を務める豊田正和氏は「皆様のご期待に十分お応えできなかったことを深くお詫びする」と謝罪する一方、今回の失敗を前向きに捉え、次の成功に繋げるとした。

打ち上げ直後のカイロスロケット
打ち上げ直後の爆発

 カイロスは3月13日午前11時1分12秒に「スペースポート紀伊」(和歌山県串本町)の射点から打ち上がった。しかし、5秒後に上空で爆発し、周囲では火災も発生した。

 発表によると、破片はすべて敷地内に落下し、敷地内での火災も鎮火した。第三者や関係者の被害もないといい、豊田氏は「安全な飛行中断を行えた」と述べた。

 爆発の原因は、異常の検知に伴う自律破壊だ。カイロスには機体が異常を検知した際に、自律的に破壊指令を行う「自律飛行安全システム」が搭載されている。自律破壊に至った要因については対策本部を立ち上げて現在調査中としている。

打ち上げ失敗「前向きに捉える」と豊田社長

 スペースワンの豊田氏は今回の失敗について「前向きに捉えて次の挑戦に臨みたい」と述べた。

 今回はミッション4のステップ1にあたるリフトオフまで達成したが、ステップ2を達成できなかった。搭載していた内閣衛星情報センターの「短期打上型小型衛星」は喪失した。同社は2020年代後半に年間20回、2030年代に年間30回のロケット打ち上げを目指しているが、今回の打ち上げ失敗による計画の変更はないとした。

 会見には経済産業省で製造産業局長を務める伊吹英明氏もオンラインで登壇。経済産業大臣を務める齋藤健氏の「宇宙開発は数多くの失敗の上で成し遂げられた歴史がある。決して諦めることなく、今回の失敗を究明して次につなげてほしい」という激励メッセージを代読した。

カイロスロケットとは

 カイロスは固体燃料の3段式ロケットで、これに加えて軌道投入精度を高めるための液体推進系キックステージ(PBS)を備える。ペイロードは地球低軌道(LEO)へ約250kg、太陽同期軌道(SSO)へ約150kgを投入可能。高さは約18m、全備重量は約23トン。LEOに1500kgを投入できる宇宙航空研究開発機構(JAXA)のロケット「イプシロンS」(高さ26m)よりもさらに小型だ。

 スペースワンは、キヤノン電子IHIエアロスペース清水建設、日本政策投資銀行の共同出資によって2018年に設立された。今回の打ち上げが成功すれば、民間企業単独では日本初の衛星打ち上げとなる予定だった。

(更新)初出時「経済産業大臣が登壇した」と記載していましたが、正しくは製造産業局長を務める伊吹英明氏が登壇し、経済産業大臣のメッセージを代読していました。訂正しお詫び申し上げます。

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