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NTTやスカパーJSATら、アマゾンのスターリンク競合「Kuiper」と協業–24年下期からベータ版
2023.11.29 07:30
日本電信電話(NTT)は11月28日、Amazon(アマゾン)が提供する低軌道衛星ブロードバンドネットワーク「Project Kuiper」との戦略的協業に合意したと発表した。今回の合意には、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、スカパーJSATも含まれる。
NTTによると、Kuiperを活用することで、これまでは通信環境の確保が難しかったエリアで一次産業でのIoT活用、建設機械の遠隔操作などのシステムを導入できるという。Kuiperを利用してクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」にアクセスし、人工知能(AI)や機械学習などの最先端のテクノロジーが利用できるようになる。
協業の一環としてNTTとスカパーJSATは、Kuiperを日本の企業や政府機関、自治体に対して提供。NTTグループ自体もKuiperを活用していく。
合意した各社は、レジリエンスと冗長性を兼ね備えた通信ネットワークを構築するための選択肢の提供を目指していくという。これまでサービス提供が難しかった山間部や島しょ部などを含む地域でKuiperとNTTのコアネットワークを接続。提供エリアをさらに拡大できるとしている。
NTTとスカパーJSATは、地球と宇宙の間のシームレスな通信サービスに関する幅広い協業をKuiperと模索。日本のビジネスイノベーションを支援する。
各社の研究開発や技術力、サービスやアセットを活用し、新たなサービス創出を支援することでヘルスケアや金融サービス、エンターテインメントなど多様な業界のさらなる発展を目指す。
低軌道衛星ブロードバンドネットワークのKuiperは、試作衛星のテストミッションで100%の成功率を達成。衛星とネットワークを構成する主要技術が有効であることを検証している。
2024年下半期から一部のユーザーやパートナーを対象にベータ版サービスの提供を開始する予定。NTTとスカパーJSATは、協業の一環としてベータ版サービスに参加する予定だという。
Kuiperは、Space Exploration Technologies(SpaceX)が手がける衛星インターネットサービス「Starlink」に対抗する新たなサービス分野であり、Amazonは今後6年間で3200基以上の建造と配備を計画している。
Starlinkはすでに、数千の衛星を軌道上に乗せ、複数の国で100万を超える顧客にインターネット接続を提供している。Amazonの最高経営責任者(CEO)であるAndy Jassey氏は、Kuiperは今後の事業の中核になると述べている。