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京大、海洋プランクトン分布を衛星データから予測する機械学習モデル–動物プランクトンも対象
2023.10.20 15:28
京都大学の研究グループは、人工衛星の観測データから海洋プランクトンの分布などを予測できるモデルを開発した。
海洋プランクトンは、食物連鎖や大気の二酸化炭素(CO2)濃度に及ぼす影響が大きく、分布や種類を把握することが重要だ。ただし、調査船を各海域に派遣してサンプル採取を高頻度で行うことは、現実的に難しい。
光合成色素の光学的特性を衛星から観測することで植物プランクトン分布を予測するモデルは、以前から開発されている。しかし、この種の手法では、植物プランクトンを餌にする動物プランクトンなどの分布は捉えられない。
研究グループは、衛星観測データから得た海色と環境の情報を使用。大規模海洋サンプリングによるデータと組み合わせることで、海洋プランクトンの群集タイプを予測する機械学習モデルを構築した。
同モデルで衛星データから群集タイプを予測したところ、正解率は67%あった。過去約20年間のプランクトン群集タイプの季節変動や長期変動に関する予測結果は、現場観測で知られている現象と一致していた。
研究グループは、この研究で開発したモデルについて、環境と気候変動がプランクトン群集に与える影響の調査に今後有用である、と評価している。