水道管の漏水リスクを衛星データで管理できる「宇宙水道局」、青森市が採用

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水道管の漏水リスクを衛星データで管理できる「宇宙水道局」、青森市が採用

2023.10.18 17:40

飯塚直

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 JAXAベンチャー天地人(東京都中央区)は10月18日、水道管漏水リスク管理システム「天地人コンパス 宇宙水道局」が青森市 企業局 水道部に採用されたと発表した。自治体としては国内3番目の事例となる。

 天地人によると、上水道の水道管の老朽化が原因で、全国各地で大規模な漏水事故が相次いで発生しているという。国内には約14万km(全体の19.1%)の管路が法定耐久年数を超えており、現状の手法では経年管を点検、維持、修繕するには多額の費用が必要。広域かつ短期間で展開することは困難とされている。少子高齢化、人口減少から今後税収や職員数の減少が見込まれるため、問題は深刻さが増していると説明する。

 オンラインの地理情報システム(Geographic Information System:GIS)プラットフォームである「天地人コンパス」をベースにした宇宙水道局は、世界各国500機以上の人工衛星が観測したデータ(=宇宙ビッグデータ)やオープンデータを使用し、約100m四方の範囲内で漏水リスクの可能性区域を5段階で確認、管理できるクラウド型のシステム。

 劣化や腐食の要因や漏水発生情報などから、機械学習(AI)を活用して統計学的に解析し、評価精度を向上。実地検証結果や市民からの通報内容をナレッジ情報として保存、印刷でき、AIに学習させることで解析精度を高められるという。

 2022年度の内閣府との実証実験や他自治体へのヒアリングを通して、宇宙水道局の期待できる効果は点検費用が最大65%削減、調査期間が最大85%削減になるとしている。

宇宙水道局の画面(出典:天地人)
宇宙水道局の画面(出典:天地人)

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天地人プレスリリース

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