ニュース
小林製薬の抗菌剤、「JAXA LABEL COLLAB」付与–感染症リスクある微生物に効果
2023.09.26 16:52
小林製薬(大阪市中央区)は9月26日、同社が販売する持続性抗菌剤「KOBA-GUARD N」がブランドロゴマーク「JAXA LABEL COLLAB」を付与されたと発表した。
小林製薬によると、長期の宇宙滞在は免疫力の低下につながることから、健常な状態では感染症の原因とならない弱い菌も大きなリスクになり得るとしている。
宇宙船の内壁や船内で使用される物品を抗菌加工する技術を日本パーカライジング(東京都中央区)や宇宙航空研究開発機構(JAXA)と2020年3月~2023年3月に共同研究を進めてきた。日本パーカライジングは、金属を腐食や摩耗から守る表面処理剤、表面改質技術に強みがあるという化学メーカー。
共同研究では、国際宇宙ステーション(ISS)で使用実績がある繊維や硬質などの素材を活用して、ISSで検出された微生物の中で感染症につながるリスクが懸念される種への抗菌性を評価した。
薬剤を固着させ抗菌効果を持続できるかという耐久性についても評価した結果、KOBA-GUARD Nを含む複数の抗菌加工技術で共同研究で定めた抗菌性や耐久性に関する開発基準の一部を達成したという。
今回、JAXAの保有する特許や技術、著作物などを活用して作られた製品、JAXAと企業のコラボレーションから生まれた製品、商品化許諾品などに対し、ブランドとなるロゴマークを付与する制度「JAXA LABEL」でKOBA-GUARD NがJAXA LABEL COLLABを取得した。JAXA LABEL COLLABはJAXAとの共同研究などをはじめとしたコラボレーションから産まれたものが対象。
小林製薬によると、KOBA-GUARDはさまざまな企業で採用されているが、今回のJAXA LABEL COLLABをきっかけにコラボ商品や施工の新たな企画パートナーも積極的に募集していくと説明。KOBA-GUARD Nの新領域への展開とともに、さらなる事業拡大を目指すという。
日本パーカライジングと共同研究で開発した技術を活用して、将来の宇宙と地上の暮らしを支える技術開発を継続。宇宙分野に向けて、共同研究で残された技術課題の改良を進め、将来的な実用化のために宇宙船や関連設備を開発しているパートナーとの連携を進めていくとしている。
KOBA-GUARDに活用されている技術は、米原子力潜水艦という閉ざされた空間でカビなどの微生物の増殖を制御するために開発されたもの。小林製薬が技術を取得後、繊維や硬質など幅広い素材を対象にした加工方法を研究して、KOBA-GUARDを販売するようになっている。
関連リンク
小林製薬プレスリリース