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誰もが宇宙探索に旅立てる「Starfield」ってどんなゲーム?–すでに600万人が宇宙へ
2023.09.12 10:00
ほんの少し前まで、宇宙に行ったことのある人の数はたったの595人(※)でした。ところが2023年9月1日以降、その数は劇的に膨れ上がります。1日あたり数十万人単位で増加し、1週間後にはトータルで600万もの人たちが宇宙へ旅立ったのだとか。……といっても、ゲームでの話ですが。
そのゲームとは、米ベセスダ・ソフトワークスが開発したスペースアドベンチャー「Starfield(スターフィールド)」。未来の宇宙を舞台に冒険を繰り広げる内容で、9月8日にはプレイヤーが全世界600万人を超えるヒット作となりました。PC(Windows)のほか、ゲーム専用機のXbox Series X/Sに対応し、ダウンロード購入してプレイ可能です。
ゲームという架空の世界の物語ですから、現実の宇宙開発や宇宙ビジネスの難しさとはかけ離れたところもあるかもしれません。でも「夢がある」「新しいワクワクに挑戦できる」という意味ではきっと同じ。そこで、このStarfieldがどのようなゲームで、どんな夢やワクワクを見せてくれるのか紹介していきたいと思います。
宇宙という未知で広大なものをテーマにしているだけに、今回の記事で触れられる部分もほんのさわりになってしまいそうです。けれど、ゲームとはいえリアリティのある惑星を自由に探索し、宇宙を駆け巡り、自分なりの宇宙生活を満喫できる同作の面白さが少しでも伝われば幸いです。
最初の小惑星から自由自在に探索できる
Starfieldは、人類が宇宙で暮らすことが当たり前になった2330年の未来を舞台にしたアドベンチャーゲームです。地球から遠く離れたあちこちの惑星では人々が普通に生活し、商業や工業、惑星間貿易などの産業も活発で、資源を獲得するための開拓も進められています。本記事ではストーリーの「ネタバレ」はできるだけ伏せますが、プレイヤーが操作する主人公もそうした宇宙時代に生きる1人として、ある謎に迫るべく宇宙船を駆って冒険に出る、というのが大まかな流れです。
そのような本筋となるストーリーラインはあるものの、プレイヤーができることはあまりにも多く、何をすべきかに迷って悩んでしまうほど。自由度の高いゲームにありがちな「何をすればいいのかわからない」というネガティブな意味ではなく、「これをしたいけれど、そうすると忙しくてこっちには手が回らない」と感じることが多々あり、その天秤のバランスを取るのがとても難しいのです。さらに言うと、反対に「何をしたら“ダメ”なのか」も考えなければならなかったりします。
たとえば、ゲーム開始時に主人公の外見やスキル(特定のシチュエーションで有利になる能力)、人物のバックグラウンド(選択した内容によって特定のシチュエーションで有利になったり不利になったりする特徴)の設定、いわゆるキャラクリでまず数十分は頭を悩ませます。この段階ではまだゲーム内で具体的に何ができるのかがわからないので、実際のところ、どのスキルやバックグラウンドを選ぶのが正解なのか明らかでないのも迷う理由です。ただ、結局のところたぶんどれも正解ではありませんし、不正解でもありません。
その後、初めて外に出ると、自分が荒涼とした小惑星にいることがわかり、まずは宇宙船を手に入れます。そうすると、その後の行動はもうプレイヤーの裁量に任せられます。メインストーリー(メインクエスト)をこなすべく、ゲーム内のガイドに従って行動し、人に話しかけ、宇宙船に乗り込んで次の目的地に向かってもいいのですが、宇宙船の発着場の周辺に広がる大地を勝手に探索してもいいのです。
小惑星とはいえ、おそらく1周すれば数十~数百kmはある地表の全てが目の前に再現されています。いわゆる「オープンワールド」と呼ばれるタイプのゲームですから、ゴツゴツした岩石からなる起伏に富んだ景色を遠くまで見渡せて、シーン切り替えなしにどこまでも歩いて行けます。走ったり、ジャンプしたり、あるいは手に持っている採掘用機械であちこちに埋まっている資源を掘り出したり。初の惑星探査に心が躍り、熱中し過ぎて小一時間経過してしまう可能性があります。ちなみに、この時点で掘り出した資源が何に使えるのかは明らかではありません。
発着場の施設にはアイテムが多数落ちています。一般的なオープンワールドゲームだと、拾えるものはたとえば武器や防具、回復アイテムといったユニーク性のあるものですが、Starfieldはそうではありません。机に置いてあるペンやメモ帳、紙コップ、置物など、なにげない小道具も1つ1つ拾えてしまいます。この時点でこれらが何に使えるのかは明らかではありません。
でも、従来のドラゴンクエストのようなRPGを経験してきた人なら、「もらえるならもらっておこう」の精神で拾い集めたくなるでしょう。そうするといくら時間があっても足りません。そして、拾いすぎると後でちょっと困ったことになります。
プレイヤーは何をすべきか、何をしたらいけないか
ずっと小惑星を歩き回っていても物語は進みません。宇宙船に乗り込み、「ニューアトランティス」という大都市へ移動することにします。そこでは大勢の人が行き交い暮らす、宇宙時代の“日常”が広がっています。積極的に人々に話しかければ情報収集できますし、レストランやカフェに行って食事をとるのも、時間とともに変わっていく景色の変化をずっと眺めるのも自由。拾ったアイテムや採掘した資源をお店で売却したり、人からの依頼(サブクエスト)をこなしたりしてお金を稼ぐこともできます。
ゲーム内では親切な解説はありませんが、このあたりでStarfieldというゲームで何ができるのかがなんとなくわかってきます。プレイヤーが本格的に「何をするべきか」に悩み始めるのもこの頃かもしれません。というのも、このニューアトランティスでサブクエストが大量に発生するので、それを1つずつこなしていくだけでも大変ですし、時には戦闘になるような危険なクエストもあって、武器や防具を購入するなどして装備を強化することも欠かせません。そしてゲーム内のやりこみ要素が徐々に明かされ、利用できるようになってきます。
とりあえず装備を強化するにはお金を稼ぐ必要があります。近場でひたすらアイテム拾いや資源採掘をして売却する、というのを繰り返してもいいのですが、注意しなければならないこともあります。アイテム1つ1つに「重量」が設定されていて、合計重量が上限を超えると移動に制約が出ること。それともう1つ、「人の物は盗ってはいけない」ということです。
窃盗が犯罪なのは現実では常識ですが、先ほど「もらえるものはもらっておこう」と拾い集めていたアイテムは、自分や自分のコミュニティに属するものであれば問題なくとも、他人の所有物だと当然のように手にした瞬間に咎められ、最悪の場合、治安維持組織に捕まって罰金を支払う羽目になります(見つからないようにうまく盗む、というテクニックもあります)。
同様に、街で暮らす無辜(むこ)の住民たちに攻撃することも重大な結果を招きます。彼らはゲームでよくある、当たり判定のない「半透明なモブ」ではありません。武器で攻撃すれば傷つきますし、ひどいときには倒れて動かなくなり、身近な人たちからの印象が悪化してストーリーなどに影響します。現実の世界と同じく、社会のルールやモラルに反した行動をとると不利な状況になるのです。あえて悪辣な宇宙海賊的スタンスで無法を働きまくるのもプレイヤーの自由で、それもこのゲームの楽しみ方の1つではありますが……。
物語を進めるため、お金を稼ぐため、必要になるあれこれ
お金を稼ぐには武器や防具の強化が欠かせないと書きましたが、単に新しい武器や防具をお店で買えばいい、というものでもありません。武器には威力や射程距離、特殊効果などが設定されており、遠隔から攻撃できる銃タイプのものには消費アイテムの弾薬も別途必要になります。弾薬がなくなったときは斧のような近接武器や素手で殴るしかありません。防具についても、物理防御力の他に、熱や放射線への耐性なども設定されていて、それによって戦闘に有利なもの、探索に有利なもの、といった形で使い分けができるようになっています。
それらを新たに購入するだけでなく、既存のものを強化することも可能です。研究用機材を利用し、収集したアイテムや採掘した資源などを元に、オプションモジュールを開発、追加することで性能を向上させられます。攻撃を受けたり、探索中に危険な場所に近づいてダメージを受けたりすることもあるので、それを素早く回復・治療するためのアイテムを作り出すこともできます。新しい食材レシピを発明して、摂取することで一時的に能力をアップさせる、なんていう要素もあり、戦闘や探索を安全に進めるのに役立ちます。
つまり、お金稼ぎや装備の充実を図るためには研究開発が有効で、それにはさまざまなアイテムを集めなければなりません。1カ所の惑星で採掘できる資源の種類は限られているため、必然的に他の惑星にも探索の範囲を広げなければならないでしょう。
そうなると今度は宇宙船の性能も気になってきます。宇宙船で一度に持ち運べる素材の量にも制限があり、拡張しようとすれば宇宙船を強化するか、新たな宇宙船を購入しなければならないからです。そう、主人公だけでなく宇宙船の装備にも気を配る必要があり、それには湯水のごとく大金が必要になるというわけです。
ちなみに宇宙船の装備やデザインは細かくカスタマイズできます。エンジンや武器(他の宇宙船と戦闘になる場合もあります)、惑星間航行のワープ(Starfieldでは「グラヴ・ジャンプ」と表現されています)能力をより強力なものにアップグレードできるだけでなく、その取り付け位置や色を変えたりもできます。宇宙船のカスタマイズをしているだけでも時間はいたずらに溶けていくので、プレイヤーの悩みは一層深まります。やりたくなることが多すぎるのです。
いろいろな惑星を探索したい、装備を強化したい、敵と戦闘してレアアイテムをゲットしたい。そして宇宙船をカスタマイズしたいし、ストーリーも進めたい。Starfieldではどれもプレイヤーの思いのまま、やりたいだけできます。でも、そのすべてをバランスよく進めていくのは難しく、どこから手をつけるべきかに目移りして困ってしまう……。と言いつつも、それがワクワクの源泉だったりするのですが。
「1日1惑星」生活でも存分に冒険を楽しめる
いずれにしても最終的な課題は「お金稼ぎ」と、それを可能にするユーザーの「プレイ時間」に集約されるところがあります。ただし、そんななかでも比較的お金や時間を必要とせずに自由度高く楽しめるのが惑星探索です。最低限の装備でも近場の惑星であればワープして好きな場所に着陸し、固有の植物や生物、資源などを見つけ、雄大な景色を堪能できます。攻撃的な人や生物が襲ってくることがあるので注意は必要ですが、1日1時間もあれば、その惑星のことを(ある程度)知るのには十分です。
謎の多い壮大なメインストーリーと、奥深い研究開発や宇宙船カスタマイズなどの要素は、大作ゲームならでは。一方で、長時間ゆっくり遊ぶ時間がとれない人であっても、現実にはまだ行くことができない彼方の星々に思いを馳せ、「1日1惑星」生活をエンジョイしてみる、なんていう気楽なプレイスタイルで存分に冒険感を味わえます。
説明が決して丁寧ではなく、親切設計とは言いがたいところもあるStarfieldですが、それがむしろ宇宙という未知に挑むゲームらしい雰囲気で、迷いながらそれを理解していくこと自体も楽しめるはず。ここまでいろいろ説明してきたので矛盾するかもしれませんが、本当のところは詳しい前提知識をもたずに始め、ネット上の攻略情報も見ずに遊ぶことを個人的にはおすすめしたいところです。
Starfieldは、Windows PC向けサブスクリプションサービスの「PC Game Pass」(月額850円)、もしくはXboxシリーズ向けの「Xbox Game Pass」(月額935円)に加入していれば追加料金なしで遊ぶことができます。PCの場合は快適なプレイにやや高めのマシンスペックが要求されるので、動作要件を確認したうえで購入を検討してください。なお、とりあえず遊んでみたいという人にはマシンスペックがそこまで求められない「Xbox Cloud Gaming(Xbox Game Pass Ultimate)」(月額1210円)という選択肢もあります。
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