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Starlink、沖縄県へエリア拡大–衛星間光通信を活用、地上局に頼らず実現

2023.07.18 16:47

小口貴宏(編集部)

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 KDDIは7月18日、同社がStarlinkとの提携によって展開する「Starlink Business」の提供エリアに沖縄県を追加したと発表した。また、沖縄県へのエリア拡大については、地上局に頼らずにStarlinkの衛星間光通信を活用したと明かした。

 従来のStarlinkは、ユーザー側の端末は衛星と繋がるものの、その衛星は地上局を介して地上網に繋がっている。つまり、衛星通信とはいえ地上網に依存したネットワークとなっている。一方、沖縄県へのエリア拡大に際しては、最新のStarlink衛星が搭載する、衛星間光通信技術を活用したという。

 KDDIで取締役執行役員 パーソナル事業本部 副事業本部長 兼 事業創造本部長を務める松田浩路氏は、衛星間光通信について次のようにコメントした。

 「1つのStarlink衛星でカバーできる範囲は限られている。例えば海の上から通信しようとしても、近くに地上局がないと、地上局から離れれば離れるほど通信しづらくなってしまう。そこで、一旦自分の上にある衛星と通信しておいて、あとは宇宙空間の衛星のメッシュで通信をすると。スライドの例では(沖縄エリアの通信を)北海道にある地上局に降ろすという感じ」(松田氏)

 KDDIとSpaceXは、2022年末から衛星間光通信の共同実証に取り組んできた。その結果、「驚くほど低遅延という試験結果を得られた」といい「もともと光ファイバーは屈折率の関係で光速よりも遅いため、宇宙空間の衛星リンクで直接飛ばしたほうが速いんじゃないかと理論的には言われていたが、それを実証できた」とも松田氏は述べた。

 続けて「Starlinkの衛星はだいたい時速2万8000kmくらいで飛んでおり、10分程度で地上から見えなくなってしまうので、どんどんハンドオーバーしなければならないが、するとどうしても揺らぎやパケットの伝送時間が変わったりする。そのあたりもSpaceXと技術検証をした結果、このたび衛星間リンクを提供できるようになった」とも説明した。

 沖縄県がStarlinkエリアに加わったことで、沖縄県の離島や山間部において、Starlink回線をau基地局のバックホール回線に利用できるようになった。また、法人や自治体、海上向けのStarlink Businessのサービスを沖縄県でも利用できるようになる。

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