QPS研究所、小型SAR衛星の通信でSpace Compassの光データリレー活用を本格検討

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QPS研究所、小型SAR衛星の通信でSpace Compassの光データリレー活用を本格検討

2023.07.07 15:07

佐藤信彦

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 小型の合成開口レーダー(SAR)衛星を開発、運用するQPS研究所(福岡市中央区)は、日本電信電話(NTT)とスカパーJSATの合弁会社Space Compassが提供する予定の光通信データリレーサービスについて、活用に向けた本格的な検討を開始した。

 QPS研究所は、従来のSAR衛星に比べ質量が20分の1、製造コストが100分の1という小型SAR衛星「QPS-SAR」を開発する企業。現在3機の衛星を運用し、夜間や天候不良時でも高分解能かつ高画質に観測できるSAR画像を提供している。

小型SAR衛星「QPS-SAR」で観測(出典:QPS研究所)
小型SAR衛星「QPS-SAR」で観測(出典:QPS研究所)

 Space Compassは、周回軌道上に光無線通信ネットワークを構築し、人工衛星間、衛星と地上の間の通信用に提供する計画。2024年末にアジア上空の静止軌道(GEO)へ光データリレー衛星の初号機を打ち上げ、順次衛星を投入していく。2026年までに、地球をグローバルにカバーしたサービス展開を予定している。

GEO衛星による光通信データリレー(出典:Space Compass)
GEO衛星による光通信データリレー(出典:Space Compass)

 QPS-SARがレーダーで取得するデータの量は、一度に数ギガバイトにもなり、これを直接ダウンリンクで地上局へ送信するには、タイミングや通信容量などの制約があるという。Space Compassの光データリレーサービスを利用すれば、リアルタイムな大容量通信が可能になるとしている。

 QPS研究所は、衛星を毎年複数機打ち上げていき、2025年以降を目標に36機体制の小型SAR衛星によるコンステレーションを構築する計画。平均10分ごとの「準リアルタイム地上観測データサービス」を提供できるという

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