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1902年に落下、「越谷隕石」と認定–小惑星が起源、国内では54番目

2023.04.03 16:07

佐藤信彦

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 文化庁は、1902(明治35)年に現在の埼玉県越谷市へ落下した隕石とされる石について、国立科学博物館などが分析し、隕石であると確認した。「越谷隕石(Koshigaya)」と命名され、国際隕石学会の隕石データベース「The Meteoritical Bulletin Database」に登録された。

 この隕石は1902年3月8日の明け方、当時の埼玉県南埼玉郡桜井村大字大里(現在の埼玉県越谷市)に落下したもの。田畑に大きな穴ができ、深さ1m余りあった底から重さ4.05kgの隕石1個が発見された。

1902年に落下した越谷隕石(出典:文化庁)
1902年に落下した越谷隕石(出典:文化庁)

 隕石は民家に保管されていたが、2021年に越谷市郷土研究会を通じて国立科学博物館に分析を依頼。国立極地研究所と九州大学とともに調査し、ガンマ線測定の結果、宇宙線で生成される放射性核種(宇宙線生成核種)のアルミニウム-26が検出され、隕石と確認された。宇宙線生成核種で半減期が約2.6年のナトリウム-22が検出されなかったことから、落下してから少なくとも数十年は経過していることも確かめられた。

 光学顕微鏡や電子顕微鏡で組織を観察するとともに鉱物組成を分析して、「L4普通コンドライト(球粒隕石)」と確定。このタイプの隕石は小惑星が起源としている。

(左)透過光、(右)透過光(クロスポーラー)(出典:文化庁)
(左)透過光、(右)透過光(クロスポーラー)(出典:文化庁)

 越谷隕石は、国内の隕石と確認されたものとして、2020年7月2日に落下した「習志野隕石(Narashino)」に次いで54番目。

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