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月の塵「レゴリス」を超低温の液体窒素スプレーで吹き飛ばす研究
2023.03.06 09:25
月面探査を行う宇宙飛行士を月の塵(レゴリス)から守るため、スプレーを利用するアイディアを、ワシントン州立大学の研究チームが報告している。
レゴリスとは月面を覆う堆積層の総称で、細かく砕けたガラスから成り立っている。このレゴリスが宇宙服や精密機器、さらには宇宙飛行士の呼吸器にも悪影響を与えることが知られている。
ワシントン州立大学の学生であるIan Wells氏は、液体窒素をスプレーで噴出することで、模擬的なレゴリスの99%を除去できたと報告している。これには、非常に冷たい液体窒素を暖かく塵に覆われた物質に吹き付けることで、塵の粒子が数珠つなぎになり浮かび上がる「ライデンフロスト効果」が関係している。
今回の研究は、米航空宇宙局(NASA)の助成金によって支援されている。次のステップとしては、「洗浄プロセスにおけるレゴリスと液体窒素の複雑な相互作用を理解し、モデル化する」のを目標としている。また今後は、月の重力を再現した環境での実験も目指している。