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火星探査機「Insight」が活動停止–「さようなら、今まで応援をありがとう」

2022.12.22 16:50

佐藤信彦

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 米航空宇宙局(NASA)は、火星探査機「InSight(インサイト)」が地球からの通信に反応せず、活動停止したと発表した(その1その2)。太陽光発電パネルに積もった砂の影響で、動作に必要な電力が得られなくなったためだ。

 InSightは、2018年5月5日に打ち上げられ、約6カ月かけて火星に到達し、11月26日に着陸。それ以来、地震計などで火星の地震「火震」を観測し、火星の内部構造を解明するためのデータを収集してきた。

 活動停止までに1319回の火震を捉え、火星の地殻やマントル、コアといった構造の解析に貢献した。さらに、隕石の落下に伴う振動と音を記録したほか、マグニチュード4.7という過去最大の火震を計測できた。

 InSightは、活動に必要な電力を太陽光発電パネルから得る。ただし、火星の砂が次第に積もって太陽の光を遮るようになり、発電量力が低下していた。埃を取り去る機構は、コストも体積も増え、システムが複雑になってしまうため、搭載していない

砂に覆われていくInSight(出典:NASA)
砂に覆われていくInSight(出典:NASA)

 NASAは、延命目的でInSightを一時停止するよりも、電力の得られる限り最後まで動かすと決め、観測を続けていた。当初の計画では、火星の1年間(地球の時間では約2年に相当)を探査するとしていた。結果的に、活動期間は約4年という、およそ2倍の長さになった。

InSightが最後に送ってきた画像(出典:InSight公式Twitterアカウント)

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