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月探査ミッション「Artemis I」、打ち上げを11月16日へ延期-ハリケーン接近で

2022.11.10 14:45

佐藤信彦

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 米航空宇宙局(NASA)は、月探査計画「Artemis(アルテミス)」初のロケット打ち上げミッション「Artemis I」について、打ち上げ日を米東部標準時(EST)11月16日へ延期した。ハリケーンへ発達する可能性のある熱帯低気圧「Nicole(ニコル)」が、フロリダ州のケネディー宇宙センターに近づいているため。これまでは、11月14日に打ち上げる予定だった。

フロリダ州に近づくNicole(出典:日本気象協会)
フロリダ州に近づくNicole(出典:日本気象協会)

 Artemisは、月に宇宙飛行士を送り、月面探査などを実施する計画。初ミッションのArtemis Iでは、新型ロケット「Space Launch System(SLS)」で無人の宇宙船「Orion」を打ち上げて月軌道を周回させ、最終的に地球へ帰還させる。Artemis計画において、SLSとOrion、ケネディー宇宙センターの地上管制システムを初めて統合した形で実施する試験、という位置付け。

 Artemis IのSLSは、ケネディー宇宙センターの発射台「39B」へ設置済み。SLSは、高さ60フィート(約18m)地点の風速が時速85マイル(風速約38m)でも十分耐える設計だそうだ。現在のところ、風は問題になるほど強くならない予報であるため、関連設備や作業員の安全を確保するだけで、SLSはそのまま発射台に設置しておく。

 新たな打ち上げ予定日時は、ESTで11月16日午前1時4分(日本時間11月16日午後3時4分)から2時間の時間帯。このタイミングで打ち上げられなかった場合、予備の打ち上げ日時として、ESTで11月19日午前1時45分(日本時間11月19日午後3時45分)からの2時間を用意している。

発射台に設置されたSLS(出典:NASA)

 Artemis Iは当初8月29日に打ち上げようとしていたが、エンジン関連のトラブルで延期。その後、9月3日に打ち上げを試みたものの、液体水素漏れで再び延期となった。

 NASAはSLSを発射台に設置したまま修理を実施し、9月27日の再挑戦を目指した。ところが、今度はハリケーン「Ian(イアン)」の接近で、SLSを発射台から組立棟へ戻すこととなり、打ち上げを見送った。

 そして、打ち上げ日を改め11月14日に設定11月4日に発射台へ設置した。

 今後、「Artemis II」で月軌道の有人ミッション、「Artemis III」で宇宙飛行士を月に着地させる計画。さらに、「Artemis IV」で「Apollo(アポロ)」計画以降で2回目となる有人月探査ミッションを実施するとしている。

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