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災害で通信途絶しても業務を継続–法人向け「Starlink」の用途をKDDIが説明

2022.10.20 16:00

小口貴宏(編集部)

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 KDDIは10月19日、Space Exploration Technologies(SpaceX)の法人向け衛星通信サービス「Starlink Business」の詳細を明らかにした。同社は日本で唯一の「認定Starlinkインテグレーター」となり、法人や自治体へ「Starlink Business」の販売や導入支援を年内に始める。

▲KDDIは国内唯一の「認定Starlinkインテグレーター」に
▲KDDIで経営戦略本部長 兼 事業創造本部長を務める松田浩路氏

 Starlink Businessは、高度約550kmの地球低軌道(LEO)を周回する、多数のStarink衛星を活用したブロードバンドサービスだ。Starlinkの個人向けサービスに比べて帯域面での優遇があり、理論上の通信速度は下りが350Mbps、上りが40Mbpsとなる。

 また、個人向けサービスと比べて、ユーザーが地上に設置するアンテナも高性能化している。KDDIによると、Starlink Business向けアンテナは個人向けの2倍以上の利得だという。さらに、個人向けと比べて空への視野角は約35%広く、融雪性能も1.7倍。防水等級はIP56(一般向けはIP54)と、それぞれ性能が向上しているという。

▲左から個人ユーザー用アンテナ、法人ユーザー用アンテナ

 加えて、現時点では個人向けサービスは主に東日本エリア限定だが、Starlink Businessは日本全国で利用できる。Starlink Businessの利用料金は現時点では明かされていない。

事業継続計画(BCP)に基づく導入など想定

 Starlink Businessの用途としては、企業や自治体からの事業継続計画(BCP)での利用を想定しているという。衛星通信は災害時に通信途絶に強い特性がある。また、被災地における通信回線の確保にも役立つとしている。

 加えて、光ファイバーの引き込みが難しい、山間部の工事現場における通信回線の確保や、山小屋や離島といった、これまでブロードバンドの導入が難しかった場所への導入なども想定する。さらに、Starlinkの導入支援を通じた企業や自治体のデジタル化にも商機を見出す。

Starlinkの日本上陸をKDDIが支援

 なお、KDDIが関わるのはStarlinkの法人向けサービスのみで、先週突如としてサービスが開始された個人向けサービスにKDDIは関与していない。しかし、日本におけるStarlink地上局の設置や、行政との調整などにおいて、KDDIはStarlinkを支援したという

▲KDDI山口衛星通信所にStarlink地上局を構築

 なぜKDDIはStarlinkを支援したのか。同社の担当者によると、KDDIは日本の衛星通信の歴史を背負ってきた自負があるという。

 KDDIの前身であるKDDは、日本初の衛星通信を実現させた。1963年に実施した初の太平洋横断テレビ伝送実験で、たまたまジョン・F・ケネディ大統領暗殺のニュースが伝えられたことは広く知られているが、この映像は当時のKDDの茨城衛星通信センターで受信されたものだった。このように、日本の衛星通信の歴史を担ってきたという自負も、Starlinkとの提携に踏み切った背景の1つだという。

▲KDDIには日本の衛星通信の歴史を背負ってきた自負がある

 KDDIはStarlink Business以外にも、au基地局のバックホール回線にStarlinkを採用することを発表している。また、スマートフォンとStarlink衛星の直接通信の実現も検討するとしている。

▲KDDIによるStarlinkの活用形態

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