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QPS研究所の小型SAR衛星2機打ち上げ、パブリックビューイング開催

2022.09.30 20:34

飯塚直

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 小型の合成開口レーダー(SAR)衛星を開発、運用するQPS研究所(福岡市中央区)は小型SAR衛星の3号機「QPS-SAR-3」と4号機「QPS-SAR-4」を10月7日に打ち上げる予定。打ち上げの様子はパブリックビューイングで見ることができる。同社が9月30日に発表した。

 愛称は3号機が「アマテル-I」、4号機が「アマテル-II」。両機は、鹿児島県にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)の内之浦宇宙空間観測所から「イプシロン」ロケット6号機で打ち上げられる。イプシロンにとっては初の商業打ち上げになる。

 予定軌道は、太陽同期軌道(高度約560km、軌道傾斜角約97.6度、周期約95分)。打ち上げ予定時間帯は午前9時47~58分頃。予備期間として10月8~31日を設けている。

 福岡県庁運営のもと、リアルイベントとオンライン配信の両方によるハイブリッド形式でパブリックビューイングを実施する(オンラインでは、福岡県宇宙ビジネス研究会がYouTubeで配信する)。

 10月7日当日は、福岡銀行本店広場(福岡市中央区天神2-13)がメイン会場となり、打ち上げの様子が大型モニターに投映される。QPS研究所の代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)である大西俊輔氏が今回のプロジェクトの背景や技術・開発秘話などを紹介するという。

 打ち上げを見学できる「IHIスペースポート内之浦」(旧・宮原ロケット見学場、鹿児島県肝付町岸良)とも中継をつないで、肝付町町長の永野和行氏やQPS研究所創業者の八坂哲雄氏、関係者とともに現地の様子を伝えていくという。

 QPS研究所は、収納性が高く、軽量でありながら大型の展開式アンテナを開発。開発したアンテナによって強い電波を出せるようになり、従来のSAR衛星の20分の1の質量、100分の1のコストと説明する高精細小型SAR衛星(QPS-SAR)を開発したと説明する。

QPS-SARに搭載されるパラボラアンテナの直径は3.6m(出典:QPS研究所)
QPS-SARに搭載されるパラボラアンテナの直径は3.6m(出典:QPS研究所)

 現在は、1号機「イザナギ」、2号機「イザナミ」の2機を運用。2021年5月にはイザナミで70cm分解能という民間の小型SAR衛星として日本で最高精細の画像取得に成功しているという。

 イプシロン6号機で打ち上げられるアマテル-Iとアマテル-IIは、イザナギやとイザナミの開発や運用で得られた成果をもとに改良を重ねたコンステレーション(複数の人工衛星で高頻度な地球観測を可能とするシステム)を成す最初の2機という役割を持つ。太陽同期軌道に投入されることで地球観測サービスにおける全地球観測対応の強化が図られるとしている。

(左から)アマテル-I、アマテル-II(出典:QPS研究所)
(左から)アマテル-I、アマテル-II(出典:QPS研究所)

 イプシロン6号機には、JAXAの小型実証衛星3号機(RApid Innovative payload demonstration SatellitE-3:RAISE-3)、キューブサットのMAGNARO(名古屋大学)、MITSUBA(九州工業大学)、KOSEN-2(米子工業高等専門学校)、WASEDA-SAT-ZERO(早稲田大学)、FSI-SAT(未来科学研究所)の6機で構成されるJAXAの「革新的衛星技術実証」3号機も搭載される。

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