KOSEN-Xシミュレータを組み立て、プログラミングする学生

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新居浜高専、「全国高専宇宙コンテスト」開催–キューブサットを検証実験

2022.01.07 15:27

田中好伸(編集部)

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 新居浜工業高等専門学校(愛媛県新居浜市、新居浜高専)は「第1回全国高専宇宙コンテスト」を1月10日にオンラインで開催する(一般の参加、見学はできない)。同行を含めた高専を運営する独立行政法人の国立高等専門学校機構が1月7日に発表した。

 初めて開催される全国高専宇宙コンテストは、学生が参画する超小型人工衛星開発に向けたコンテスト。高専では、すでに打ち上げられた国立高専初の「KOSEN-1」、2022年度打ち上げ予定の「KOSEN-2」に続く後継機(KOSENシリーズ)の開発を目指している。

 KOSENシリーズは、高専でのものづくり教育の一環として進められており、学生が主体的に開発に参画する仕組みを目指している。学生が自ら考えたミッションアイデアについて、学生自身が手を動かして検証実験をして、その内容を宇宙開発の第一線で活躍している技術者や研究者に向けて発表、議論することで、アイデアを主体的にブラッシュアップするできるという環境を作るためとコンテストの開催意義を説明する。

 国立高専初の超小型人工衛星であるKOSEN-1は高知や群馬、徳山、岐阜、香川、米子、明石、新居浜、鹿児島、苫小牧の10の高専が共同で開発。KOSEN-1は超小型人工衛星の中でも「キューブサット」に含まれる。

KOSEN-1のフライトモデル (出典:国立高等専門学校機構)
KOSEN-1のフライトモデル (出典:国立高等専門学校機構)

 KOSEN-1の正式名称は「木製電波観測技術検証衛星」。2018年3月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進める「革新的衛星技術実証2号機」に搭載される実証テーマに選定、高専生を中心に2年半開発されてきた。KOSEN-1の開発プロジェクトは、文部科学省が進める宇宙航空人材育成プログラム「継続的な超小型衛星開発・運用を通した次世代の高専型宇宙人材育成」の委託事業。

 2022年度打ち上げ予定のKOSEN-2は、米子や群馬、高知、徳山、新居浜、岐阜の6の高専が共同で開発しているキューブサット。JAXAの「革新的衛星技術実証3号機」に搭載される実証テーマに選定された。

 今回の全国高専宇宙コンテストでは、参加者はKOSEN-1と同様のコンピューターやセンサー、カメラなどを搭載した「KOSEN-Xシミュレータ」で自らが考案したアイデアの検証実験を行う。KOSEN-XシミュレータはサイズもKOSEN-1と同じであり、参加者が自由に搭載装置などを決められるミッションスペースも備えているため、軌道上にある実際の人工衛星を想定したさまざまな実験を行える。

KOSEN-Xシミュレータの外観。右側の下部がミッションスペース(出典:国立高等専門学校機構)
KOSEN-Xシミュレータの外観。右側の下部がミッションスペース(出典:国立高等専門学校機構)

 審査にはJAXAなどで第一線の宇宙研究を進めている技術や研究者が加わり、アイデアと検証実験の双方が優れたチームには賞を授与し、今後のKOSENシリーズのミッションテーマとして検討される。

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