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中国、月着陸船「攬月」の離着陸試験を初実施–2030年までに有人月探査

2025.08.08 13:18

塚本直樹

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 中国は2人乗りの月着陸船(ランダー)「攬月(らんげつ、Lanyue)」の着陸・離陸試験を実施した。中国有人宇宙飛行プログラム室(CMSEO)が現地時間8月7日に発表した。攬月は2030年までの有人月探査を予定している。

 今回の試験は、中国北部の河北省懐来県にある施設で8月6日に実施された。試験では攬月のエンジンが点火され、月面着陸とその後の離陸を模擬。CMSEOによれば、これは中国が有人宇宙船の地球外での着陸・離陸試験を実施した、初の事例となった。

攬月(出典:CCTV / YouTube)
攬月(出典:CCTV / YouTube)

 中国航天科技集団(CASC)のHuang Zhen氏は中国国営中央テレビ(CCTV)に「打ち上げ段階では、その時の荷重を検証する必要がある。我々は大規模な機械試験を行い、打ち上げ時の極めて複雑な環境下でのスムーズな移行を確実にした」と語っている。

 攬月は2人の乗組員を月面に運ぶことができ、探査車(ローバー)や科学機器などの貨物(ペイロード)の輸送も可能だ。Huang氏はCCTVに「着陸機には互いにバックアップするための冗長構成で配置された、複数のエンジンがある。いずれか1基のエンジンが故障した場合でも、残りのエンジンが宇宙飛行士を安全に月周回軌道に戻し、地球へ帰還させることができる」と語っている。

 中国の有人月探査では、ロケット「長征10号」を2回打ち上げ、それぞれで有人宇宙船「夢舟(むしゅう、Mengzhou)」とランダーの攬月を月周回軌道に送り込む。軌道上で2機はドッキングし、2人の宇宙飛行士が月面に降り立つ計画だ。

試験の様子(出典:CMSEO)
試験の様子(出典:CMSEO)

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CMSEO発表
Space.com

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