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NICTなど、月面の水探査に向けたテラヘルツ波センサー開発へ–「TSUKIMI」始動

2021.12.17 16:37

田中好伸(編集部)

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 Space BDは12月15日、総務省から「テラヘルツ波を用いた月面の広域な水エネルギー資源探査」の委託先に選定されたことを発表した。同社のほか情報通信研究機構(NICT)や東京大学、大阪府立大学、宇宙航空研究開発(JAXA)の共同プロジェクト「TSUKIMI」を本格的に始動させる。

 TSUKIMI(Lunar Terahertz Surveyor for Kilometer-scale MappIng)は、マイクロ波に含まれるテラヘルツ波(1000GHzに相当)のセンサーで月面を探査、観測した輝度温度から氷や土壌に含まれる水分量を推定することを目指している。

 NICTの笠井康子氏を代表研究責任者(Principal Investigator:PI)とするチームは、岩石のテラヘルツ帯での挙動に関するデータベースを構築するとともに、データ解析アルゴリズムを研究開発し、宇宙環境に耐えられる多周波数チャンネルのテラヘルツ波センサーを開発する。

 月面の資源探査のため、人工衛星とセンサーを統一的に制御するデジタル処理技術も開発。これらの技術を統合することで、宇宙での運用が可能なシステムを開発、月面の水資源探査が実現可能であることを検証するために研究開発を進めていく。

 日本も参画している、月面に宇宙飛行士を送り込む「アルテミス計画」では、人間の生命維持やロケット、工場などの燃料として水資源の活用が期待されていて、月面の水資源探査は重要とされている。

 テラヘルツ波は全電磁波の領域の中で氷や水に最も敏感な周波数帯であり、検出感度は高いといわれている。従来のミリ波と比較しセンサーの小型軽量化が可能であるため、超小型衛星への搭載が実現可能といわれている。

 日本は、高性能マイクロ波放射計(Advanced Microwave Scanning Radiometer:AMSR)や改良型高性能マイクロ波放射計(Advanced Microwave Scanning Radiometer-EOS:AMSR-E)に強みとされている。AMSRは、2002年に打ち上げられた環境観測技術衛星「ADEOS-II」に搭載。AMSR-Eは、米航空宇宙局(NASA)が主導する地球観測計画に活用された衛星「EOS PM-1」に搭載、降水や海面水温、積雪、雲水量など水に関係する情報が観測できる。


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