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ElevationSpace、2030年代に有人宇宙輸送–ビジョン刷新、事業領域を拡張
2025.07.29 16:00
ElevationSpace(仙台市青葉区)は2030年代の有人宇宙輸送の実現に向けてビジョンを刷新した。新しいビジョンは「軌道上のヒト・モノをつなぐ交通網を構築する」。地球に帰還可能な再突入機から、軌道上拠点への物資・有人輸送や軌道間輸送に事業領域を拡張し、軌道上交通網の構築に挑戦するという。7月29日に発表した。

同社が構築しようとしている、新しい宇宙の交通網は、地球と宇宙を一方通行ではなく双方向につなぎ、地球上の経済と宇宙の経済が循環するエコシステムを意味していると説明する。同社が描く2040年の世界では、地球・月・火星、その軌道上に多様な拠点が存在していると言う。
中でも地球軌道上は惑星や月の表面にはない微小重力環境を活用した宇宙環境利用の中心地として研究や産業、居住、観光など多様な都市機能が展開され、地球と軌道上を高頻度にヒトとモノが行き交う世界が実現していると解説する。
こうした未来を築く第一歩が、2026年後半以降に打ち上げ予定の再突入衛星「あおば」であり、無人宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R」、有人拠点からの高頻度物資回収サービス「ELS-RS」としている。再突入技術を軸に、地球と宇宙の間に双方向の循環を生み出す仕組みを実装すべく、軌道上拠点への物資・有人輸送や軌道間輸送に事業を拡張させる。
人類の宇宙進出を実現するには地球に帰還するための再突入・回収技術が不可欠と同社は説明。ELS-RとELS-RSの事業を通じてコア技術である再突入・回収技術の成熟を進めるとともに有人宇宙機に必要なランデブー・ドッキング技術や安全性を確保するための各種有人技術の獲得を着実に進めていくとしている。
今後は、国内外の関係機関や企業との連携を通じて「環境制御・生命維持システム(Environmental Control and Life Support System:ECLSS)」やマンマシンインターフェースなど有人宇宙機に求められる要素技術の習得を目指してモックアップ制作などを含む実践的な技術開発にも取り組む。軌道上拠点への国産有人宇宙機の実現に向け、産学官の力を結集しながら、着実に歩みを進めていくという。

同社が構想する有人宇宙機は、少人数を軌道上拠点に柔軟に輸送できる、機動性の高いカプセル型と説明する。ELS-RとELS-RSで培った再突入・回収技術をベースに信頼性の高いカプセル型有人輸送システムを実現して安全性と再使用性を両立させるとしている。

