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【速報】H2Aロケット最終50号機、打ち上げ成功–観測衛星「いぶきGW」を軌道投入、有終の美を飾る

2025.06.29 01:50

UchuBizスタッフ

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は2025年6月29日午前1時33分、国産基幹ロケット「H-IIA(H2A)」の最終号機となる50号機を種子島宇宙センターから打ち上げた。打ち上げは無事に成功し、温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」(いぶきGW)を軌道に投入した。

国産基幹ロケット「H-IIA(H2A)」50号機(JAXAのライブ配信より)

 打ち上げ後に、固体ロケットブースターを分離。予定通り第1段機体と第2段機体を分離し、打ち上げから約16分後にペイロードである「いぶきGW」を軌道投入した。その後、太陽電池パドルの展開や衛星の太陽捕捉制御が正常に行われたことも確認した。今後は、打ち上げ3カ月後までに初期機能を確認し、約1年後にユーザーへのデータ提供を開始する予定。

打ち上げの瞬間(JAXAのライブ配信より)

 H2Aロケットは、2001年の運用開始から50回中49回の打ち上げに成功し、その成功率は約98%を誇る。2005年の7号機以降は44機連続で打ち上げに成功しており、24年にわたり日本の宇宙開発を支え続けた打ち上げ機は、有終の美を飾った。

(JAXAのライブ配信より)

 H2Aロケットは、多くの日本の人工衛星を軌道に運んできた。情報収集衛星(IGS)や気象衛星「ひまわり」、地球観測衛星「だいち」、準天頂衛星「みちびき」シリーズなど、幅広い分野のミッションを担ったほか、2014年には小惑星探査機「はやぶさ2」を打ち上げた。はやぶさ2は、小惑星リュウグウのサンプルを地球に持ち帰ることに成功している。

最終50号機が搭載した衛星「いぶきGW」とは?

 50号機に搭載された温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」(いぶきGW)は、海面水温など水循環に関する「高性能マイクロ波放射計:AMSR」と、温室効果ガスを観測する「温室効果ガス観測センサ:TANSO」が同時搭載されたハイブリッド衛星で、気候変動対策や資源管理などに役立てられる。

 2012年に打ち上げられた「しずく」の水循環変動観測ミッション、 2009年に打ち上げられた「いぶき」および2018年に打ち上げられた「いぶき2号」の温室効果ガス観測ミッションを発展的に継続するもので、従来よりも高解像度・広範囲の観測が可能になると期待されている。

温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」(出典:JAXA)

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