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【速報】ispace、月面着陸失敗の要因は「レーザー距離計」のハードウェア異常–ispaceが報告会

2025.06.24 10:28

UchuBizスタッフ

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 ispace(東京都中央区)は6月24日、ミッション2における月着陸船「RESILIENCE(レジリエンス)」の着陸失敗に関する技術要因分析の報告会を開催した。管制室で得られたフライトデータを解析した結果、レーザーレンジファインダー(レーザー距離計、以下「LRF」)のハードウェア異常が要因であると特定。ミッション1のソフトウェア異常とは異なる要因だと説明した。

技術要因分析報告会で語るispace代表取締役CEO & Founderの袴田武史氏

 データ解析により、ミッション1のようなソフトウェア上の問題ではなくハードウェア異常にあること、またその中でも推進系の異常や電力等その他のシステム異常ではなく、LRFのハードウェア自体の異常が要因であることを特定したという。また、ミッション1で使用していたLRFでは異常は起きなかったが、このLRFメーカーが製造を停止したことから、ミッション2では異なるLRFを使用していたことも明かした。

 同社によれば、航行中にLRFが故障や性能劣化した可能性や、降下時のLRFの性能が事前の想定よりも低かった可能性が高いと考えられるとのこと。現在もこれらの異常が発生した背景として考え得る事象について絞り込みを進めているという。

 今後の改善策として、(1)LRFを含む着陸センサの検証戦略・計画の見直し、(2)LRFを含む着陸センサの選定・構成・運用の見直しをする予定。また、より広範な技術的強化策として、(1)第三者専門家を含む「改善タスクフォース」の立ち上げの上、後続ミッションに向けた開発上の対策の検討、(2)JAXAからの技術支援の拡張によるさらなる技術力の向上を実施する。

 後続ミッションへの影響については、LRF等の着陸センサの再選定や試験計画の見直し・拡充等に係る費用として、後続するミッション3とミッション4で合わせて最大15億円程度の開発費用増を見込んでいるという。

 この費用は打ち上げを予定している2027年までの期間にわたり段階的に計上される見込みであるため、2026年3月期の通期連結業績予想を修正すべき影響はない見込みだと説明。また現時点で、後続するミッション3、ミッション4の打ち上げスケジュールに与える影響はない見込みとしている。

 なお、月面着陸には失敗したが、ミッション2を通じた成果は4つあると説明。(1)2度の月周回までの確かな輸送能力を実証できた、(2)2つのミッションを通じて異なる条件下での着陸シーケンスデータが得られた、(3)目標着陸地点との差を1km圏内に抑えられた、(4)ランダー開発の期間やコストの削減に成功したことなどを挙げた。

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