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H2Aロケットがいよいよ最後の打ち上げ–成功率98%、24年の歩みに幕
2025.06.26 08:00
2025年6月29日午前1時33分に、日本の基幹ロケット「H-IIA(H2A)」が第50号機の打ち上げをもって引退する。2001年の初打ち上げから24年、日本の宇宙開発を支え続けた打ち上げ機は、その役目を次世代機「H3」ロケットへと託す。

成功率は驚異の98%–「はやぶさ2」など打ち上げ
H2Aロケットは、前身であるH-IIロケットの後継機として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の前身である宇宙開発事業団(NASDA)と三菱重工業が共同開発した全長約53mの大型ロケット。
2001年の運用開始から49回中48回の打ち上げに成功しており、その成功率は驚異の約98%と、世界的に見ても非常に高い。2005年の7号機以降は43機連続で打ち上げに成功しており、長年にわたり日本の宇宙開発を支えてきた。
H2Aロケットは、多くの日本の人工衛星を軌道に運んできた。情報収集衛星(IGS)や気象衛星「ひまわり」、地球観測衛星「だいち」、準天頂衛星「みちびき」シリーズなど、幅広い分野のミッションを担ったほか、2014年には小惑星探査機「はやぶさ2」を打ち上げた。はやぶさ2は、小惑星リュウグウのサンプルを地球に持ち帰ることに成功している。

最終50号機が搭載する衛星「GOSAT-GW」とは?
6月24日に打ち上げられる50号機は、H2Aロケット最後のフライトとなる。そこに搭載されるのが、温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」。海面水温など水循環に関する「高性能マイクロ波放射計:AMSR」と、温室効果ガスを観測する「温室効果ガス観測センサ:TANSO」が同時搭載されたハイブリッド衛星で、気候変動対策や資源管理などに役立てられる。
2012年に打ち上げられた「しずく」の水循環変動観測ミッション、 2009年に打ち上げられた「いぶき」および2018年に打ち上げられた「いぶき2号」の温室効果ガス観測ミッションを発展的に継続するもので、従来よりも高解像度・広範囲の観測が可能になると期待されている。

後継機「H3」ロケットへの期待
H2Aの後継機として開発された「H3」ロケットは、“低コスト・高頻度・高信頼性”をキーワードに、JAXAと三菱重工業が共同開発した。国際競争が激化する中、日本独自の打ち上げ輸送能力を維持・強化するための次世代基幹ロケットとなる。
2023年3月の初号機は打ち上げに失敗したが、2024年2月に2号機の打ち上げに成功。その後は同年7月の3号機、同年11月の4号機、そして2025年2月の5号機と、4機連続で打ち上げに成功しており、国産ロケットとしての信頼を着実に積み上げている。

そして、2025年内の打ち上げを控えている6号機は、初めて固体燃料ロケットブースターを使用せず、液体燃料ロケットエンジン3基を搭載する「30形態」の試験機として打ち上げる予定。H3ロケットが目指している低コストな打ち上げへの足がかりとなるだけに、これまで以上に成否が注目される。