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アークエッジ・スペース、宇宙部品の軌道上実証サービスでフルサクセス
2025.06.12 14:30
アークエッジ・スペース(東京都江東区)は、自社で開発した超小型衛星「AE1c」に搭載されたホステッドペイロードの軌道上運用を完了、所定のミッションを計画通りに実施した。6月11日に発表した。
今回のミッションは、Pale Blue(千葉県柏市)が開発した水蒸気式推進機(スラスター)「PBR-10」をホステッドペイロードとして搭載した。大きさは0.5Uサイズ。
ミッションでは、軌道上での運用を通じたデータ取得と作動の健全性確認が目的。アークエッジ・スペースは衛星バスの開発と製造、ミッションに必要な衛星運用計画の策定から運用支援までを担当。衛星とスラスターはともに正常に作動し、所定の運用成果が得られたと説明する。PBR-10の詳細は、Pale Blueが公開しているホワイトペーパーに記載されている。
今回の取り組みは、同社が提供するホステッドペイロードサービスの運用経験を拡充すると説明する。同サービスは、企業が開発したスラスターやセンサー、実験機器などを同社が開発、運用する超小型衛星に搭載して、宇宙空間での運用機会を提供するというもの。衛星の開発や打ち上げ、運用といった負担を軽減して、迅速かつ効率的に宇宙環境下での技術運用や性能評価を進められると説明する。

AE1cは、やはりアークエッジ・スペースが開発した超小型衛星「AE1d」とともにSpace Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)のロケット「Falcon 9」によるライドシェア(相乗り)ミッション「Transporter 12」で米国時間1月14日に打ち上げられた。日本時間1月15日午前4時9分にアークエッジ・スペースの牧之原地上局(静岡県牧之原市)で試験電波での通信を確認した。
AE1cとAE1dはアークエッジ・スペースが2021年度から開発を進めてきた衛星汎用バス(大きさはW6U)を採用している。
アークエッジ・スペースが開発した汎用バスは、内部の構造やコンポーネントをモジュール化、規格化されている。共通部分である衛星バス部とカスタマイズできるミッション部の接合部分に、柔軟に設計を変更できるというミッションインターフェース(MIF)を採用している。
3U(10cm×10cm×30cm)の大きさであるミッション機器の搭載部を柔軟に載せ替えることで衛星開発にかかる費用や時間を最小限に抑えながらユーザーのニーズに応えた多様なミッションに対応できるとしている。
AE1cは汎用バスの「基本モデル」を採用。汎用バスシステムの基本機能と標準で搭載されるIoT通信機能に加え、3Uの縦型ミッション部を確保している。
