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ispaceの月着陸船「レジリエンス」、円軌道に向けて軌道制御マヌーバ実施
2025.05.29 12:30
ispace(東京都中央区)の月着陸船「RESILIENCE」が月を周回する円軌道に向けた軌道制御マヌーバを日本時間5月28日午後5時27分に実施。5月29日現在、マヌーバの結果は良好と発表した。管制室(ミッション・コントロール・センター)では、円軌道上で軌道調整が必要かどうかの確認を数時間から数日かけて判断する。
追加の軌道調整が不要で、着陸シーケンスの開始準備が整ったと判断される場合には、完了を発表する予定としている。仮に軌道調整が必要とされる場合には、改めて追加の軌道制御マヌーバを実施した後で発表する。
RESILIENCEは、ispaceが進める民間月探査計画「HAKUTO-R」のミッション2「SMBC×HAKUTO-R VENTURE MOON」として1月15日午後3時11分に打ち上げられ、同日午後4時44分にロケットから分離した。
地球周回フェーズを経て、2月15日午前7時43分に月面から高度8400kmの地点を通過し、民間企業による商業用月着陸船としては史上初の月のスイングバイに成功。低エネルギー遷移軌道を2カ月かけて地球から最も離れた距離で約110万kmの地点に到達した。
深宇宙の旅から帰ってきたRESILIENCEは5月7日午前5時41分に月周回軌道投入(Lunar Orbit Insertion:LOI)マヌーバに成功し、月周回軌道投入を完了させた。月着陸は6月6日を予定している。
VENTURE MOONでは、前回のミッション1と同様に、月面に着陸するまでの10段階のマイルストーンが設定されており、マイルストーンごとの成功基準(サクセスクライテリア)を決めている。ミッション1と同様にミッションに途中で課題が発生しても、その事象だけを捉えて、単なる失敗と評価しないという考えがあるからだ。

RESILIENCEは、以下の貨物(ペイロード)を月まで運んでいる。
- 高砂熱学工業=月面用水電解装置
- ユーグレナ=月面環境での食料生産実験を目指した自己完結型モジュール
- 台湾・国立中央大学宇宙科学工学科=深宇宙放射線プローブ
- バンダイナムコ研究所=GOI宇宙世紀憲章プレート
- ispace欧州法人ispace EUROPE=小型探査車(マイクロローバー)「TENACIOUS」
- スウェーデンのアーティストMikael Genberg氏による「ムーンハウス」

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ispaceプレスリリース