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米インテュイティブの月着陸船アテナ、横転理由は「高度計の不具合」と「光の影響」
米Intuitive Machines(インテュイティブ・マシーンズ)にとって2回目となる月着陸ミッション「Intuitive Machines 2(IM-2)」で着陸船(ランダー)「Athena」(アテナ)が横転した理由は、レーザー高度計の不具合と光の影響だったという。米国5月14日に開かれた2025年第1四半期(1~3月)の決算説明会で明らかにした。
IM-2は、Nova-C級ランダーであるAthenaがSpace Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の「Falcon 9」(ファルコン9)ロケットで2月に打ち上げられた。3月に月に着陸したが、機体が横倒しになりミッションが終了した。
米メディアSpaceNewsによれば、Athenaは月面への降下中にレーザー高度計からの「信号ノイズと歪み」で正確に高度を測定できなかったという。
Athenaは月の南極付近のMons Mouton(ムートン山、別名「ライプニッツ・ベータ」)に着陸したが、太陽の角度が低いため、長い影が生じ、「着陸システムの精密な性能に課題」が生じたと説明する。
米航空宇宙局(NASA)が運用する、月を周回する観測衛星「LRO(Lunar Reconnaissance Orbiter)」から得られた画像とクレーターの見え方が異なっていたために、光学航法システムに誤差を与えたことも理由と解説している。
同社最高経営責任者(CEO)のSteve Altemus(スティーブ・アルテマス)氏によれば、2026年に実施予定の第3弾ミッション「Intuitive Machines 3(IM-3)」では、異なる方式の高度計が搭載されるという。新たに照明条件に依存しないセンサーを搭載し、着陸地点の速度を測定する。光学航法向けにクレーターのデータベースも強化される。
決算説明会では、Nova-Cをベースにした「軌道間輸送機(Orbital Transfer Vehicle:OTV)」の設計や米空軍研究所の原子力電気推進を用いた宇宙機「JETSON」プロジェクトについても触れられた。2月にはテキサス宇宙委員会から1000万ドル(約15億円)の助成金を獲得し、大気圏再突入用の「リフティングボディ型機体」の開発を進めている。
