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大西宇宙飛行士が地上とリアルタイム交信でISS船内ツアー–「SusHi Tech Tokyo 2025」に登場
2025.05.11 08:00
東京で3日間にわたり開催されたスタートアップカンファレンス「SusHi Tech Tokyo 2025」の最終日となる5月10日、JAXA大西卓哉宇宙飛行士が滞在中の国際宇宙ステーション(ISS)と、地上の会場をつなぐリアルタイム交信イベントやISS船内ツアーが実施された。大西氏は20分近く会場と交信し、子どもたちをはじめ、多くの来場者に向けて宇宙の魅力を伝えた。

大西氏はまず、来場者から事前に寄せられた質問に答えた。1つ⽬の質問は、「誰でも気軽に宇宙旅⾏に⾏けるようになるか?それはあと何年くらいで実現しそうか」というもの。大西氏は、自身が宇宙空間で⽣活する中で感じた技術の進歩に触れつつ、数⼗年後には、⾶⾏機に乗るような感覚で気軽に宇宙に行ける未来がくるかもしれないと語る。加えて、「なぜ宇宙に⾏くのかという意義を、地上の皆さんと⼀緒に考えていけたら嬉しい」と答えた。
続く2つ⽬の質問「宇宙⾶⾏⼠として、宇宙から地上のためにどんな貢献ができていると思うか」に対しては、宇宙ならではの微小重力環境を生かした実験を挙げた。たとえば「タンパク質結晶」を創薬に生かしたり、物質の性質を調べて新材料を研究したりするなど、さまざまな分野における宇宙利用が増えることで、地球低軌道活動の可能性が拡がることを期待した。

大西飛行士が「ISS船内ツアー」できぼうを紹介
交信イベントの後半では、ISS船内ツアーを実施。大西氏が自ら実験モジュール「きぼう」日本実験棟について解説した。最初に紹介したのが、宇宙飛行士の撮影作業などを支援する自律飛行型カメラロボット「Int-Ball2」。将来の探査に必要な自動化・自律化の実証を担っている重要な存在だと説明した。

続いて、JAXAが開発を進めている、ロボットアームと実験に必要な封入環境を組み合わせた自動実験システム「GEMPAK」を紹介した。遠隔化・自動化・自律化技術を活用することで、研究者や利用者が自ら遠隔操作できる効率的・効果的な宇宙実験等の機会提供を目指すものだ。

最後に、来場者に対してきぼう船内で見てみたい場所を3択で質問。「A:物置」「B:窓」「C:冷蔵庫」という選択肢の中で、最も拍手が多かった「窓」が選ばれた。大西氏はきぼうの窓を開けて、ISS船外に広がる宇宙空間やわずかに見える地球の映像などを会場に届け、交信イベントを締め括った。