ニュース

スカパーJSATとPenetrator、衛星画像から土地の変化を検出するシステムを共同開発

2025.05.09 08:13

UchuBizスタッフ

facebook X(旧Twitter) line

 スカパーJSATJAXAベンチャーPenetrator(東京都文京区)は撮影時期が異なる衛星画像からデータの差異を抽出し、土地の変化を検出するシステムを共同で開発した。5月8日に発表した。

 共同で開発したシステムは、Penetratorが開発、提供する不動産取引支援SaaS「WHERE」を通じて、一部の顧客向けにベータ版として提供しており、概念実証(PoC)を進めている。

 不動産業界では従来、担当者が自分の受け持っている地域を定期的に巡回して、土地の変化や空き地を目視で確認しているという。土地の変化をWHEREで把握できるようになれば、労働時間の削減や特定の人材への依存軽減といったメリットが期待できるとしている。

 共同で開発したシステムでは、スカパーJSAT独自の技術で衛星画像から抽出したデータ差異の情報をWHEREにマッピングすることで、最新の衛星画像をもとに、より高精度な現況予測が可能になると説明する。

 これまでも撮影時期が異なる衛星画像からデータの差異を抽出する技術、その技術を活用したシステムは存在していたが、今回開発した検出システムでは、衛星データを活用し、月次レベルで高頻度、高分解能に近いデータ差異抽出を可能にしつつ、コストを抑えた点が強みとしている。スカパーJSATとPenetratorは、システムの公式版リリースに向け、今後も共同開発を継続していくとしている。

PoC中のサービスイメージ(出典:Penetrator)

 WHEREは2023年6月にベータ版をリリース、2024年9月に公式版をリリース。大手デベロッパーが導入するなどリリースから9カ月間で単月売上高1億円を突破したという。

 Penetratorによると、日本国内には、コンビニの店舗数の2倍となる、約12万社の宅地建物取引業者が存在すると説明。不動産の仕入れである「物上げ業務」では、売主と貸主などの不動産所有者から取引の依頼を直接受ける方法が一般的だが、その7割以上が人脈を通じたアナログな紹介に依存しており、手法は旧態依然と指摘している。

 コロナ禍を受け宅地建物取引業法が改正され、対面での説明や押印がフルリモートで対応可能になるなど、不動産の仕入れ方法は大きな転換期にあると同社は説明する。

 物上げ業務の課題を解決するため、同社は衛星データとAI(人工知能)を掛け合わせることで不動産情報収集をワンクリックで実現できるというWHEREを開発して、宅建業者と関連業社の業務効率化と最大化を目指しているという。

 スカパーJSATとPenetratorは2月に業務提携。Penetratorは4月にシリーズAラウンドとして5.5億円を調達したが、スカパーJSATも出資している。

(出典:Penetrator)
(出典:Penetrator)

関連情報
Penetratorプレスリリース(PR TIMES)

Related Articles