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ボーイング、「スターライナー」のコスト削減で進展–2024年は750億円の損失

2025.04.25 16:22

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 米Boeing(ボーイング)は、宇宙船「CST-100 Starliner」(スターライナー)のコスト管理が改善されているとの見方を示した。海外メディアのSpaceNewsが報じている

 Boeingは、2024年にStarliner関連で5億2300万ドル(約750億円)の損失を計上した。その主な理由は、有人飛行試験(CFT)の遅延や打ち上げ後に判明した宇宙船の問題だ。Starlinerプログラム全体では、これまでに20億ドル(約2900億円)の損失が計上されている。

 Boeingは米国時間4月23日に2025年第1四半期の決算を発表。電話会議でプレジデント兼最高経営責任者(CEO)のKelly Ortberg(ケリー・オートバーグ)氏は、「Starlinerは大幅なコスト超過を経験したものの、現在はコスト管理の改善が進んでいる」と説明。第1四半期には新たな損失は報告されなかった。

 NASAとBoeingは現在も、CFTミッションで発生した異常の調査を続けており、作業は夏まで続く予定だ。なぜ設計や開発の段階、あるいは過去の無人飛行で問題が検出されなかったのかについても、複数のチームが調査している。

 次のStarlinerのミッションが有人飛行になるかどうかについては、米航空宇宙局(NASA)内でまだ決定されていないことも明かされた。NASAは3月に「国際宇宙ステーション(ISS)の乗員交代ミッションに使用する前に、もう一度試験飛行を行う予定だ」としていたが、それが有人か無人かは未定だった。この判断は、今後夏までに進められる分析結果に左右される可能性がある。

(出典:NASA)
(出典:NASA)

 Starlinerは2024年6月、CFTとして2人の宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に輸送した。しかし、推進システムからヘリウムが漏れ、ISSとのドッキング時に必要な微調整などに使用する姿勢制御システム(RCS)のスラスター28基のうち5基が故障した。

 このため、NASAは、宇宙飛行士を乗せるのはリスクが高いと判断。宇宙船は無人の状態で地球に帰還。宇宙飛行士はSpace Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の宇宙船「Crew Dragon」で地球に帰還した(NASAは、乗員が搭乗しても問題がなかったことを明らかにしている)。

 NASAは、ISSへの宇宙飛行士の送迎を有償で委託する「商業乗員輸送計画(CCP)」としてSpaceXとBoeingを選定。SpaceXのCrew Dragonはすでに2020年11月から実運用されており、2025年7月以降に予定されている「Crew-11」は11回目のミッション(CFTを含めると12回目)。

 BoeingのStarlinerは実運用前の段階。CFTに問題がなければ、実運用ミッションである「Starliner-1」は2025年2月に予定されていた。現段階でのStarliner-1の時期は不明。

関連情報
Boeingプレスリリース
SpaceNews

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