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米アストラニス、台湾企業と214億円の契約–衛星不具合、解消の見通し立たない中
小型の静止通信衛星を製造、運用する米Astranis Space Technologiesは米国時間4月15日、台湾初の通信専用衛星の提供で1億5000万ドル(約214億円)の契約を締結したと発表した。
今回の契約は、台湾の通信会社である中華電信(Chunghwa Telecom)のための「Ka」バンド(周波数は26.5G~40GHz)通信衛星で、Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の「Falcon 9」(ファルコン9)ロケットで打ち上げられる、「Block 3」シリーズの5機の衛星の一部となる。
中華電信が利用するのは、Astranis(アストラニス)が製造する静止軌道(GEO)を周回する小型通信衛星である「MicroGEO」。重さは400kg程度とみられている。
中華電信 取締役会会長 Alex Chien氏は、「この食洗機サイズの衛星が、老朽化した日本製の(GEOを周回する)通信衛星『ST-2』、欧州のSESが開発した中軌道(MEO)衛星、低軌道(LEO)のOneWebなどと連携し、マルチ軌道戦略に柔軟性と回復力をもたらす」と説明。同社はGEO、MEO、LEOの各軌道を周回する通信衛星を活用することで非地上系ネットワーク(NTN)戦略を進めていく。
Astranisは、2024年末に打ち上げた別の小型静止衛星に問題が発生している最中に今回の契約を結んだ。同社の「Block 2」シリーズの4機の衛星は2025年1月にGEOへの上昇を開始したが、衛星データを追跡する非営利団体のCelesTrakによれば、そのうちの1機「UtilitySat」の軌道上昇が確認できていないという。
同社は問題の衛星について「健全で安全な状態」と海外メディアのSpaceNewsに説明する。「現在、問題のトラブルシューティングを行っており、軌道投入を一時停止している。軌道投入を再開する前に問題を完全に診断し、解決するための時間を取っている」
