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Space Compassとマイクロソフト、AI使った衛星データ実証で成果–地上転送に必要なデータ量を98%減
2025.04.15 16:33
NTTとスカパーJSATの合弁会社であるSpace Compass(東京都千代田区)は4月14日、マイクロソフトとの合同プロジェクトで実施中の軌道上衛星実証において、AI技術を活用することで98%以上の転送容量削減効果を確認したと発表した。
Space Compassはマイクロソフトと合同でCo-Engineeringチームを立ち上げ、「Azure Orbital Space SDK(Software Development Kit)」衛星内で動作するAIアプリを開発した。具体的にはSDKの機能を活用して、従来は特殊なHWとセットで開発されることの多かった軌道上動作アプリを、より汎用的なPythonを用いて地上のAzure環境上で開発実装し、観測衛星上のコンピューティングリソースへ転送した上で検証したという。
観測衛星で撮像したデータを軌道上で即時分析処理する実証を、3カ月間にわたり40回以上実施。その結果、軌道上でのAI処理により衛星画像から検知された船舶の情報のみを取り出し、不要なデータを削除することで、一定の条件下では、地上へ転送が必要なデータ容量を98%以上削減できるなど、大きな効果が得られたという。

今回の成果について、地球上の様子を“空の目”として捉えられる観測衛星データを、効率的かつリアルタイムに活用できるものであり、安全保障や自然災害対策など、さまざまな社会課題の解決に役立てることが期待できるとしている。
今後、打ち上げ予定の光中継衛星でのエッジコンピューティング機能をサービスとして実現し、高速大容量の光データリレーサービスを組み合わせる予定。これにより、リアルタイムかつ地上のクラウド基盤とシームレスに衛星データを活用できるソリューションの実現を目指す。また、マイクロソフトとのパートナーシップを宇宙ビジネスの幅広い分野へと拡大し、最先端のソリューション開発に取り組むとしている。