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将来宇宙輸送システムとLetaraが協定–ハイブリッドエンジンのロケットシステムを共同開発へ
2025.04.14 10:00
将来宇宙輸送システム(東京都中央区)は4月14日、Letara(北海道札幌市)と2025年1月に包括連携協定を締結し、ハイブリッドエンジンを用いたロケットシステムを共同開発すると発表した。今後は、システム設計・検討や燃焼試験の実施を通じて、2028年の打上げ実現に向けた開発体制を構築するとしている。

ロケットエンジンには大きく「液体燃料エンジン」と「固体燃料エンジン」、そして液体燃料と固体燃料を組み合わせる「ハイブリッドエンジン」の3種類がある。これまで将来宇宙輸送システムでは液体燃料を中心に開発を進めてきた。今回、ハイブリッドエンジンを用いたロケットシステムも検討することで、早期に飛行実証が見込まれる選択肢を追加し、開発の確度を高めたい狙いがある。
同社では、ハイブリッドエンジンは、酸化剤供給タンク・ターボポンプ・配管・バルブなどが液体ロケットエンジンと共通していると説明。これまで液体燃料エンジンのために検討してきた成果を活用しつつ、技術成熟度の高い固体ロケット技術を活用して、早期に飛行実証を目指せるようになるとしている。
北海道のLetaraと連携する理由
2022年5月に創業した将来宇宙輸送システムは、「2028年を目標に、人工衛星の軌道投入を目指す」という目標を掲げており、この実現のため、国内外のパートナー企業との協業を進め、アジャイル型の開発を進めてきた。特にロケット開発において技術的難易度が高いエンジン開発にあたっては、幅広い方法を検討しているという。
そこで自社開発に加えて、2024年4月には米ロケットエンジン開発企業のUrsa Major Technologiesとパートナーシップを締結。また、2025年4月9日にはUrsa Major Technologiesから追加でロケットエンジンを調達することも発表した。このほか、2024年夏には荏原製作所と包括連携協定を締結し、同社が開発する電動ポンプを活用したロケットエンジンの開発を目指している。
今回新たに包括連携協定を発表したLetaraは、2020年に設立された北海道大学認定スタートアップで、人工衛星向けにプラスチック燃料のスラスターなどを開発している。同社は将来宇宙輸送システムとの連携を通じて、ロケットシステム用エンジンの開発にも本格的に着手するという。
Letaraの技術基盤であるCAMUIロケットは、20年以上にわたり開発と実証が重ねられ、数多くの大型ハイブリッドエンジンを活用するロケットの打ち上げ実績を持つ日本発のロケット技術。
ハイブリッド推進は、液体燃料エンジンに比べて構造がシンプルで取り扱いが容易なため、高い安全性、優れたコスト効率、そして短期間での開発・製造が可能という特長があると説明。これらの特性は、将来宇宙輸送システムが目指す、持続可能で柔軟に運用できるロケットシステムとの親和性が高く、開発リスクを最小限に抑えながら、迅速に実機レベルのシステム構築を進められるとしている。