ニュース

NASA次期長官のアイザックマン氏「月と火星の有人探査を同時進行すべき」–上院公聴会で発言

2025.04.10 13:53

塚本直樹田中好伸(編集部)

facebook X(旧Twitter) line

 米航空宇宙局(NASA)の次期長官に指名されているJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏は、「NASAは『人類による月への再着陸』と『有人火星ミッション』を同時に進行すべき」との考えを明かした。

 Isaacman氏は実業家で、Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)のロケットと宇宙船を使用した宇宙飛行ミッションを主導した。Donald Trump政権でNASA次期長官に指名された

 米国時間4月9日に実施された上院商業委員会の承認公聴会でIsaacman氏は、NASAは月探査計画『Artemis』(アルテミス)と有人火星探査の両方を同時に進めることが可能だと繰り返し主張した。「我々はアメリカ人宇宙飛行士を火星に送ることを優先し、その過程で自然と月に戻る能力も備えることになる」

 ただしIsaacman氏は、具体的にどのようにして両計画を並行して進めるのかについては、詳細を語らなかった。Artemisの主要要素であるロケット「Space Launch System(SLS、スペース・ローンチ・システム)」、宇宙船「Orion」(オリオン)、月周回有人拠点「Gateway」(ゲートウェイ)についても、当面は支持すると語った。

 Isaacman氏は国際宇宙ステーション(ISS)について、2030年の退役予定日まで運用すべきとの考えを明かした。ISSについては、SpaceXを率いるElon Musk(イーロン・マスク)氏が「ISSはもはや価値がない」として、即時引退を主張。これについてIsaacman氏は「その理由を知りたい」と述べるにとどまった。

 Musk氏は、1月に「月は時間の無駄、我々は火星に一直線だ」と投稿し、月を経由することに疑問を投げかけている。これを受けて、現在長官代行を務めているJanet Petro(ジャネット・ペトロ)氏は「NASAは月と火星の両方を目指すべき」との見解を示している

 Isaacman氏の次期長官については、NASAの元宇宙飛行士28人ができるだけ早期に承認するよう上院に求めている

承認公聴会で上院議員からの質問に答えるIsaacman氏(出典:NASA / YouTube)
承認公聴会で上院議員からの質問に答えるIsaacman氏(出典:NASA / YouTube)

関連情報
NASA長官承認公聴会(動画)
SpaceNews

Related Articles