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FAA、1月の「スターシップ」事故の調査完了–予想以上の振動によるストレスで爆発

2025.04.01 17:44

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 米連邦航空局(FAA)は米国時間3月31日、Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)が1月に実施した巨大ロケット「Starship」の試験飛行での爆発事故調査を完了した。海外メディアのSpace.comが報じている

 同社は1月、7回目の統合飛行試験(IFT-7)「Flight 7」として米テキサス州南部の施設からStarshipを打ち上げた。当初は順調で、第1段エンジン(ブースター)「Super Heavy」を発射塔でキャッチすることに成功。しかしわずか数分後、ロケット第2段(上段)が空中で爆発し、残骸が降り注いだ

 SpaceXは、Flight 7でStarshipが爆発した原因について、「共振現象が予想以上に発生したことで推進剤が漏れた」と以前に説明していた。今回のFAAの調査でも、「飛行中に予想以上の振動が発生し、それによって推進システムのハードウェアに過度のストレスがかかり、最終的に故障に至った」と報告している。

 FAAはまた、「SpaceXは同様の事態の再発を防ぐために、11の是正措置を特定した。FAAは『Flight 8』の前にSpaceXが是正措置を実施したことを確認した」と発表している。

 SpaceXはFlight 7の前に上段のStarshipをアップグレードしている。加熱を抑制するための前方フラップのデザインが変更され、容量が25%増加した推進剤タンクを採用。宇宙船のアビオニクス(航法機器)の「完全な再設計」も行われ、新しいコンピューターやアンテナ、電力配分システムが搭載される。熱保護システムも改善され、最新世代のタイルと、それらのタイルが損傷したり欠損したりした場合に備えて下層のタイルが追加される。

 3月7日に実施された「Flight 8」でも上段のStarshipは大西洋上で爆発、分解して消失している

 FAAはまた、1月に行われた米Blue Origin(ブルーオリジン)の新型ロケット「New Glenn」(ニューグレン)の初打ち上げで発生した異常に関する調査も終了した。

 New Glennは軌道に到達したものの、洋上船への着地に失敗。調査報告では「New Glennの第1段がエンジン再点火に失敗し、再突入燃焼ができなかったことが直接的な原因だ」としている。

Flight 7として打ち上がるStarship(出典:SpaceX)
Flight 7として打ち上がるStarship(出典:SpaceX)

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Space.com

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