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ボーイングの宇宙船「スターライナー」、次の飛行は2026年初頭に延期の可能性

2025.04.01 08:00

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 米航空宇宙局(NASA)は米国時間3月27日、米Boeing(ボーイング)の宇宙船「CST-100 Starliner」(スターライナー)の修正作業が今後数カ月続く見込みだと明かした。

 Starlinerは2024年6月、有人飛行試験(CFT)として2人の宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に輸送した。しかし、推進システムからヘリウムが漏れ、ISSとのドッキング時に必要な微調整などに使用する姿勢制御システム(RCS)のスラスター28基のうち5基が故障した。

 このため、NASAは、宇宙飛行士を乗せるのはリスクが高いと判断。宇宙船は無人の状態で地球に帰還。宇宙飛行士はSpace Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の宇宙船「Crew Dragon」で地球に帰還した(NASAは、乗員が搭乗しても問題がなかったことを明らかにしている)。

 NASAとBoeingはStarlinerのデータ分析を進め、軌道上で故障した5基のスラスターのうち4基を復旧させることに成功。カプセルのエンジンポットの加熱が原因で、推進剤の流れが制限された可能性が高いことが判明した。推進システムのヘリウム漏れへの対策は、現在も続けられている。

 NASA 宇宙オペレーション本部の「商業乗員輸送プログラム(CCP)」のマネージャーを務めるSteve Stich氏は声明で「次回のStarlinerの飛行は、今年の年末か来年の初めの時期になる可能性が高い」と述べている。「今年の年末までに認証作業を進め、StarlinerがISSのクルーと貨物を運ぶミッションのスケジュールのどこに組み込めるかを検討する予定だ」

 NASAは、ISSへの宇宙飛行士の輸送を有償で委託するCCPにSpaceXとBoeingを選定。SpaceXのCrew Dragonはすでに2020年11月から実運用されており、2025年7月以降に予定されている「Crew-11」は11回目のミッション(CFTを含めると12回目)。

 BoeingのStarlinerは実運用前の段階。CFTに問題がなければ、実運用ミッションである「Starliner-1」は2025年2月に予定されていた。現段階でのStarliner-1の時期は不明。

(出典:NASA)
(出典:NASA)

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