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独イーザーエアロスペースが「スペクトラム」の初打ち上げに失敗–欧州初の民間軌道ロケット
独Isar Aerospace(イーザー・エアロスペース)による「Spectrum」(スペクトラム)ロケットの初打ち上げが、ノルウェーのアンドーヤ宇宙基地で現地時間3月30日に実施された。ロシアを除く、欧州本土から打ち上げられた初の民間ロケットとなったが、初回ミッションは失敗に終わった。
Spectrumは全長約28mの小型〜中型ロケットで、最大1トンのペイロードを地球低軌道(LEO)に投入できる。初の打ち上げとなった今回のミッションでは、打ち上げから数秒で制御を失い、大地に落下した。大きな火球を上げて爆発する様子が確認できる。異常の原因は明らかになっていないが、ロケットは打ち上げ直後から回転していたようだ。
なお、今回のSpectrumの試験飛行では、ペイロードは搭載されず、Isarは機体データの収集を目的としていた。地上施設や管制施設には被害はなかった。

Spectrumは軌道に到達しなかったが、海外メディアのSpace.comによると、Isarはノルウェー宇宙庁と契約を結び、2028年までに北極海監視プログラム(AOS)の衛星を打ち上げる予定だ。日本のElevationSpace(仙台市青葉区)も宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R100」シリーズの初号機「あおば」をIsarのロケットで打ち上げる契約を交わしている。Isarは、Airbus Defence and Spaceをはじめとする在欧企業から打ち上げ契約を獲得しているという。今回の打ち上げ失敗が今後のスケジュールに影響を与えるかどうかは不明だ。
Isarは2018年にドイツ・ミュンヘン近郊で設立。同社は2024年6月にシリーズCの延長ラウンドを実施、累計資金調達金額は欧州民間宇宙企業最大で4億ユーロ(625億円)を超えているとしている。