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米カリフォルニア州、衛星でのメタン監視に142億円–2013年比で40%削減が目標

2025.03.27 08:30

塚本直樹田中好伸(編集部)

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 米カリフォルニア州は衛星を活用したメタン排出量の監視に9500万ドル(約142億円)、汚染対策の支援に500万ドル(約7億5000万円)を拠出する。海外メディアのSpaceNewsが報じた

 カリフォルニア州大気資源委員会(California Air Resources Board:CARB)が米非営利団体Carbon Mapperと9500万ドルの3年契約を締結したことが米国時間3月21日に発表された。Planet Labsが設計、製造するハイパースペクトル・イメージング衛星「Tanager」シリーズで得られるデータを同社が販売、そのデータの処理と配信をCarbon Mapperが担当する。

 Tanagerシリーズを構成する「Tanager-1」は、2024年8月にSpace Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)のライドシェア(相乗り)ミッション「Transpoter-11」で打ち上げられた。Planet LabsはTanagerシリーズとして3機を追加で打ち上げ、4機のコンステレーションを構築する計画。

 CARB委員長のLiane Randolph(リーアン・ランドルフ)氏は「Carbon Mapperのメタン監視は、汚染源を特定するのに役立ち、現在利用可能なデータよりもリアルタイムに近い情報を提供する」と述べている。

 カリフォルニア州では2013年比でメタン排出量を40%削減する目標を掲げている。今回の衛星データの購入は、その一環として行われた。

カリフォルニア州サンディエゴ群でTanager-1が撮影したメタンの煙(出典:Planet Labs)
カリフォルニア州サンディエゴ群でTanager-1が撮影したメタンの煙(出典:Planet Labs)

 ハイパースペクトルは、従来の光学衛星よりも細かな波長分解能で地球を観測できることが強み。計測しない波長帯が多い従来のマルチスペクトルと異なり、広範囲の波長帯で欠損なく連続的なデータが取得できる。そのため、宇宙空間から識別できる物質の種類が多くなるとして注目されている。

 Tanager-1の分解能は30m、400~2500nmの波長帯を5nm間隔で観測する。2024年8月に打ち上げられたTanager-1のデータを分析したCarbon Mapperは、テキサス州パーミアン盆地のパイプラインからメタンが噴出していることを2024年10月に発見した。

 Carbon Mapperは、州政府機関と連邦政府に漏洩を報告し、その後、施設運営者にも通知。運営者は自主的に修理して、排出量を削減することに成功した。Tanager-1からの追跡観測ではメタンの煙は検知されず、漏洩は無事に修復されたことが確認されている。

関連情報
Planet Labsプレスリリース
Carbon Mapperプレスリリース(2024年11月発表)
Planet Labsのハイパースペクトル
SpaceNews

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