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宇宙望遠鏡「SPHEREx」と太陽観測衛星「PUNCH」、相乗り打ち上げに成功
米航空宇宙局(NASA)の宇宙望遠鏡「SPHEREx」と太陽圏観測衛星「PUNCH」が米国時間3月11日、米Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の「Falcon 9」(ファルコン9)ロケットで打ち上げられた。
SPHEREx(Spectro-Photometer for the History of the Universe, Epoch of Reionization and Ices Explorer)とは、天の川銀河の1億個の恒星と4億5000万個の銀河を赤外線領域でマッピングする宇宙望遠鏡。4億5000万個の銀河までの距離を測定。2年間の観測で全天をマッピングし、1年に2枚の地図を作成する。
ビッグバン後、ほんの一瞬宇宙が急膨張した原因となった「インフレーション」と呼ばれる宇宙現象を調査し、個別に観測されていない隠れた銀河を含む、近くの銀河と遠くの銀河が作り出す集合的な輝きを測定する。
SPHERExはまた、近傍宇宙では星の周りや円盤の中から水や一酸化炭素などの分子を探す。これらは生命の起源に必要なものだ。遠い宇宙では、星や銀河の形成がいつ始まったかを研究する。
PUNCH(Polarimeter to Unify the Corona and Heliosphere)は4機の小型衛星で構成されるコンステレーションで太陽の活動を観測する。各機に搭載されているカメラで撮影して、画像を統合することで仮想の単一観測機器として活用されることを狙っている。
4機は地球の昼と夜の境目に分散して、太陽の外層大気である「コロナ」が、太陽から絶えず流出している「太陽風」に移行する領域をマッピングする。
太陽コロナや太陽風を3Dで観測するように設計されているPUNCHは、「太陽の大気が太陽風に変化する」仕組み、「太陽風の構造がどのように形成されるか」「これらのプロセスが太陽系にどのような影響を与えるか」などの疑問に答えられると期待されている。
打ち上げ後、PUNCHの研究チームは衛星の展開が完了したことを確認。SPHERExも正常に動作していることが確認された。
今後、SPHERExは太陽同期軌道(SSO)に入り、太陽風を避けながら観測を続ける。そして地球の自転に伴い、98分ごとに360度の全天ストリップを撮影し、2年間で全天観測を完了させる予定だ。PUNCHも少なくとも2年間で観測を予定している。
SPHERExとPUNCHは、NASAのライドシェア(相乗り)方式の「Launch Service Program」(ローンチ・サービス・プログラム)を利用して米カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられた。ミッションはカリフォルニアの山火事など予期せぬ事態で度重なる遅延に見舞われていた。

関連情報
NASAプレスリリース
NASA発表(PUNCH)
NASA発表(SPHEREx)
SPHEREx概要(JPL)
SPHEREx概要(NASA)
PUNCH概要(NASA)
PUNCH概要(SwRI)
Space.com