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「J-Startup」第5次選定の31社が発表–8社が宇宙スタートアップ
2025.03.13 10:54
経済産業省は3月13日、官民によるスタートアップ支援プログラム「J-Startup」の第5次選定において新たに31社を選定した。このうち8社が宇宙企業となり、約4分の1が宇宙領域から選ばれたことになる。

J-Startupプログラムは2018年6月に立ち上がり、これまで7年弱で計239社を選定している。選定された企業は、政府の各種支援施策や民間サポーターズの成長支援を活用できる。今回選ばれた宇宙スタートアップは以下の8社。
(1)アークエッジ・スペース
超小型衛星コンステレーションの企画・設計から量産化、運用まで総合的なソリューションを提供する東京大学発スタートアップ。地球観測、船舶向け衛星通信、光通信、低軌道衛星測位等に対応した超小型衛星コンステレーション構築、月面活動にむけた衛星インフラ構築や深宇宙探査などを推進。

(2)ElevationSpace
小型再突入技術を軸に宇宙から地球への輸送サービス開発に挑戦する東北大学発スタートアップ。東北大学やJAXAと連携し、宇宙の微小重力環境で研究開発・製造された物資を地球に運ぶ小型宇宙機の開発に取り組む。

(3)Orbital Lasers
世界初のレーザー方式によるスペースデブリ除去事業や、地球のあらゆる場所をレーザーで高精度に計測する衛星ライダー事業を展開するスカパーJSAT発のスタートアップ。ハイパワーかつ小型で低コストな宇宙用レーザー技術を理化学研究所と共同開発中。

(4)将来宇宙輸送システム
宇宙往還を可能とする輸送システムの実現を目指すスタートアップ。再使用型ロケット「ASCA」(アスカ)の開発のほか、宇宙旅行のパッケージ化、宇宙港の建設など、宇宙輸送サービスの開発を進める。

(5)スペースワン
衛星を打ち上げる民間ロケット「カイロス」を開発するスタートアップ。キヤノン電子、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行の共同出資によって設立された。カイロス2号機は高度110kmに到達したが、まだ衛星分離のミッション成功には至っていない。今後も様々なニーズに対応できる高頻度打ち上げの実現を目指す。

(6)BULL
宇宙デブリ防止装置を開発している宇都宮発スタートアップ。2024年6月よりイプシロンSロケットへの搭載に向けてJAXAと共創活動を開始したほか、2025年には同社初の軌道上実証も予定している。欧州ロケット企業のアリアンスペースなど海外企業とも取り組みを進めている。

(7)Pale Blue
小型衛星向けの「水エンジン」(推進機)を開発・製造し、世界中の顧客に販売している東京大学発スタートアップ。すでに水を推進剤に用いた推進機の宇宙実証に複数成功しており、さらなる宇宙実証も予定している。製造部門の体制を強化し、生産拠点構築に向けた取り組みも加速させている。

(8)Letara
プラスチックを燃料に人工衛星などの宇宙機用エンジン(推進機)を開発・製造する北海道大学発スタートアップ。既存エンジンが抱える爆発性・危険性・高価格の問題を解決することで、今までにない安全・安価・高推力のエンジンを開発する。

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経済産業省ニュースリリース