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ispace、栗田工業の水処理システムを月に輸送–2027年以降に実証実験

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　ispace（東京都中央区）は3月10日、栗田工業と将来の月面水処理実証試験装置（水処理システム）の月面実証を目指して、貨物（ペイロード）輸送サービスの提供で覚書を締結したと発表した。

　栗田工業はispaceの民間月探査計画「HAKUTO-R」の2024年11月にコーポレートパートナーとして参加、将来的なミッションで月着陸船（ランダー）に宇宙環境下での水処理システムの搭載を目指して協業してきたという。今回の覚書は、2027年以降のispaceの月ミッションでランダーに搭載した水処理システムを月に輸送し、実証試験の協力体制に合意したものになる。

　栗田工業は、長年培ってきた水処理技術を生かして、宇宙での使用を想定した超純水システムを活用して製造した超純水を現在進行中のHAKUTO-Rミッション2「SMBC×HAKUTO-R VENTURE MOON」に搭載されている高砂熱学工業が開発する月面用水電解装置に提供している。月面でのさまざまな活動で水は不可欠であり、現地資源から水を採取し、浄化、精製する技術が求められる。この技術の実現は、地球からの水の輸送コストを大幅に削減できると説明する。

　ispaceは「Expand Our Planet, Expand Our Future」というビジョンのもと、月周回軌道や月面への輸送サービスを事業化し、「シスルナ（cislunar、地球と月のあいだの空間）経済圏」の構築を目指している。シスルナ経済圏は、地球と月の間に実現を目指す経済基盤であり、持続可能な社会の実現を支えるための新たな市場や技術、インフラを含む広範な概念と解説。この経済圏で宇宙ステーションや月面基地の建設、人類の長期滞在、資源採掘や製造活動が行われる中で水資源の管理と再利用は極めて重要と説明している。

　栗田工業は、月の砂や塵（レゴリス）から抽出する水の精製や電気分解プロセスに取り組んでいる。

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ispaceプレスリリース