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月面探査車「YAOKI」、日本の民間企業として初めて月面撮影に成功–3月7日に着陸

2025.03.08 21:41

UchuBizスタッフ

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 ダイモン(東京都中央区)は3月8日、同社が開発する小型月面探査車「YAOKI」が、日本の民間企業として初めて月面の撮影に成功したことを発表した。ただし、当初予定していたYAOKI単体での月面走行は断念した。

YAOKI搭載カメラによる月面での撮影。左上の明るい部分はクレーターの縁(リム)、中央下はAthenaの足(出典:ダイモン)

 YAOKIを搭載した米Intuitive Machinesの月着陸船「Nova-C」(通称「Athena」)は、日本時間2月27日にSpaceXの「Falcon 9」(ファルコン9)ロケットによって打ち上げられ、約1週間後の3月7日に月面軟着陸に成功した。

ダイモンが開発した小型の月探査車「YAOKI」

 ただし、着陸姿勢が予定通りでなかったことから、月着陸船の最大活動時間を考慮して、Intuitive Machinsから各ペイロードに、それぞれのミッションを着陸直後から短時間で遂行する指示が発せられたという。

 YAOKIは当初、着陸から約5日後にAthenaから分離して、単体で月面走行しながら詳細な接写画像を撮影し、それらを地球に送信する予定だった。しかし、今回は着陸船からデプロイヤー(YAOKIを輸送時に格納しているケース)を開閉するためのエネルギー供給が途絶えたため、デプロイヤーの内部からの撮影に切り替えたという。

YAOKIのカメラの位置。写真はここから撮影(出典:米Intuitive Machines)

 月での運用については、2時間以上にわたりデータを送信することに成功し、最終コマンド送信時点でYAOKIのバッテリー残量は4時間以上あることをオペレーションシステムにより確認したとのこと。1枚の写真データの受信時間は75秒で、リアルタイムに近い送信速度を確認。画像データが欠落するパケットロスがなく、クリアなデータを受信できたという。

 同社によれば、YAOKI本体は月において全機能が正常に動作することを確認したという。また、月面走行は叶わなかったが、デプロイヤー内部で車輪は回転したことから、分離されていれば月面走行は可能と推定されると説明した。

関連情報
ダイモンのプレスリリース

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