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ドコモなど、成層圏を飛行するHAPSを経由したスマートフォンへの通信に成功
2025.03.07 17:30
Space CompassとNTTドコモは、高度約20kmの成層圏を飛行する高高度通信プラットフォーム(HAPS)を経由してスマートフォンを活用したLTEでのデータ通信の実証実験に成功した。3月3日に発表した。
2月にケニアのライキピアカウンティで実施した実証実験では、地上のLTE基地局から送信される電波を高度約20kmの成層圏を飛行するHAPSを経由して、地上のスマートフォンに伝送した。
地上に設置したLTE基地局を地上ゲートウェイ局に接続し、HAPSに搭載した「非再生中継方式」と呼ばれる電波を折り返す中継技術を活用した通信装置を経由して、地上のスマートフォンと情報データを送受信した。
非再生中継方式は、基地局の装置をHAPSに搭載せずに地上に設置、地上からの電波を折り返す中継機能の通信装置をHAPSに搭載して活用する方式。基地局の装置をHAPSに搭載する方式を「再生中継方式」と呼ぶ。

今回の実証実験では、地上ゲートウェイ局からHAPSを中継したスマートフォンへの通信(フォワードリンク)で4.66Mbps以上のスループットを確認。成層圏を旋回するHAPSから一定のエリアに通信カバレッジを形成するために、地上の定点にビームの中心を向ける技術を実装し、HAPSで折り返される電波がスマートフォンで正常に受信できることも地上の試験エリアで確認した。
高度18km以上の成層圏を飛行する小型固定翼タイプのドローンで地上のスマートフォンと無線でのデータ通信の確立に成功したのは、今回が世界初と説明する。
実証実験には、AALTO HAPSが製造、運用する小型固定翼型の「Zephyr」を利用した。Zephyrは2022年にドローンとして最長となる64日間の滞空飛行を実現している。
Space Compassは日本電信電話(NTT)とスカパーJSATの合弁企業。HAPSは、静止軌道や低軌道、中軌道を周回する通信衛星を含めた非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network:NTN)を構成する要素の一つ。

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ドコモプレスリリース