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スペースデータとispaceが協業–月データ市場の拡大や月面デジタルツイン構築に向けて

2025.03.07 16:29

UchuBizスタッフ

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 スペースデータ(東京都港区)とispace(東京都中央区)は3月7日、月環境の物理シミュレーションを目的とした、デジタルツイン開発構築に向けた戦略的協業の覚書を締結したと発表した。

ispace代表取締役CEO & Founderの袴田武史氏(左)とスペースデータ代表取締役社長の佐藤航陽氏(右)

 今回の協業では、ispaceの探査ミッションで取得した月面データを活用し、両社で高精度な地形モデルの構築を目指す。さらに、宇宙ロボットや探査機の動作検証に加え、通信遅延や低重力環境など、月特有の物理シミュレーションを実施できるシステムを開発する予定。また、潜在顧客へのヒアリングや月データ取得計画の検討を共同で実施する。

 月面デジタルツインを活用することで、探査ミッションのリスクを低減し、計画の精度を向上させるとしている。また、各国の宇宙機関や民間企業との連携を進め、月での実証試験に向けた事前検証環境としての活用を推進。最終的に両社は、共に月データの商業利用を推進し、月探査のさらなる拡大を支援するデジタルツインのプラットフォーム構築を目指すとしてる。

 協業について、スペースデータ代表取締役社長の佐藤航陽氏は「スペースデータはデジタル技術を活用した『宇宙の民主化』をミッションに掲げ、宇宙をより身近でアクセスしやすい場とすることを目指している。本協業を通じて、ispaceが取得した貴重な月面データを活用し、デジタルツイン技術を発展させることで、月面探査のコスト削減と安全性向上に貢献していく。また、私たちはオープンアーキテクチャを採用し、技術の標準化を進めることで、世界中の企業や研究機関と連携しながら、宇宙を人類の生活圏へと拡張するための基盤を築いていく。この協業が、持続可能な月面経済圏の形成に向けた第一歩となることを期待している」とコメント。

 ispace代表取締役CEO&Founderの袴田武史氏は「ispaceは2021年よりCislunar Digital Twin 2030構想を掲げ、『リアルとデータの融合』の実現による月ペイロード輸送の拡大を目指してきた。今回のスペースデータ社との協業により、よりニーズに即したデータ活用プラットフォームを提供することでシスルナ領域における顧客の活動を促進し、シスルナ経済圏のさらなる発展に貢献することを期待している」とコメントした。

 なお、ispaceは1月にSpaceXの「Falcon 9」ロケットで月着陸船「RESILIENCE」(レジリエンス)を打ち上げた。月面への着陸予定日は6月6日となっている。

覚書締結の署名式の様子

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スペースデータのプレスリリース

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