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月着陸船「アテナ」、月面着陸するも姿勢に問題か–日本の月探査車「YAOKI」を搭載
2025.03.07 07:45
米Intuitive Machinesの月着陸船「Nova-C」(通称「Athena」)は日本時間3月7日午前2時32分ごろに月面着陸を試みた。着陸自体には成功し、その後の通信や発電も確認されたが、姿勢が安定しておらず詳しい状況は不明だ。同社のCEOであるStephen Altemus氏は「(2024年の初着陸に続き)またしても月面で正しい姿勢を保てていないと思う」と会見で語った。

Athenaには日本のダイモンが開発した小型探査車(ローバー)「YAOKI」が搭載されており、YAOKIからも温度のテレメトリデータは取得できているという。YAOKIは月面着陸から5日後にAthenaから分離。YAOKI単体で月面走行しながら詳細な接写画像を撮影し、それらを地球に送信する予定となっている。

Athenaによる月着陸ミッション「Intuitive Machines 2(IM-2)」は、観測機器や技術実証機器などの貨物(ペイロード)の月への輸送を、米航空宇宙局(NASA)が企業に有償で委託する「商業月面輸送サービス(CLPS)」プログラムの一環として実施されている。Athenaに搭載できるペイロードの重さは最大130kg。
Athenaには、NASAから委託された「PRIME-1」とNASAが開発した反射器(Laser Retroreflector Array:LRA)のほかに、NokiaとNASAが共同で開発した月面通信システム「Lunar Surface Communications System(LSCS)」など10のペイロードが搭載されている。ここに日本のYAOKIも含まれている。
Intuitive Machinesにとって最初となる、Athenaと同じNova-C級のランダー「Odysseus」(オデュッセウス)は2024年2月に月着陸を成功させた。民間企業による月着陸は同社が世界初となった。2例目は米Firefly Aerospaceの「Blue Ghost」で3月2日に成功した。Blue Ghostと相乗りで打ち上げられたispaceの「RESILIENCE」は6月6日に月に着陸する見込み。